今回は3月1日に開催されたオンラインイベント「How Might We Work #02」に登壇されたU-NEXTの柿元崇利様に、「U-NEXTが考える外国人採用」についてお話しをお伺いしました。
「How Might We Work」は、U-NEXTが開催する、グローバルで活躍するビジネスパーソンたちによる全編英語のオンライントークイベントです。
イベントはこちらから視聴いただけます。
【株式会社U-NEXT様について】
株式会社U-NEXTは、2007年にサービスを開始した、日本におけるSVOD(定額制動画配信)サービスのパイオニア。テレビ局や映画会社といった特定のコンテンツホルダーと資本関係を持たないインディペンデントな存在でありながら、日本国内での動画配信市場シェアは3位、国内事業者としては1位につけています。
会社名 :株式会社U-NEXT
本社所在地 :東京都品川区上大崎三丁目1番1号 目黒セントラルスクエア
代表者 :代表取締役社長 堤 天心 様
URL :https://www.unext.co.jp/
――まずは、柿元様ご自身の自己紹介からお願いします。
U-NEXTで7年ほど働いており、中途採用では古株の人間です。タレントアクイジション担当部長として、人事領域の中で採用に特化した仕事をしています。
――会社概要・事業内容について教えてください。
定額制動画配信サービスのU-NEXTを運営しています。電子書籍や音楽コンサート等のライブ配信も実施しており、比較的ユニークな存在だと思います。
動画配信業界は、Netflix、Amazonプライム・ビデオに代表されるようなグローバルサービスの上陸にも後押しされて右肩上がりに成長を続けています。一方で競争環境は激しく、数多のサービスが競合関係にあります。おかげさまでU-NEXTは有料会員数200万人を突破し安定的に成長しているものの、利用者へ価値を提供し続けなければ生き残れない、厳しい市場にいることを肝に銘じています。
――外国人採用を始めた理由についても教えていただけますか。
ひと言で言うと、そうしなければ競合に負けてしまうから、ですね。競争相手は出身地や人種に固執せず世界中から才能のある人を集めて、力を存分に発揮できる環境を整えて、素晴らしい結果を生み出している。互角以上に戦うために、私たちも必然的に似たようなアプローチをとるようになりました。「一緒に働きたいと思った方がたまたま外国籍の方」だった、という感じです。コミュニケーション上、日本語か英語を話せることは必要ですが、国籍は全く制約条件にはしていません。いまでは、外国籍の社員は全体の20%、60~70名程度です。エンジニア・デザイナーに集中していて、その中ではおよそ4~5割を占めています。
――ありがとうございます。採用された方の国籍はどこが多いですか?またどのような経緯の方がいらっしゃいますか。
地理的に近いアジア圏、特に中国、台湾が多いですね。北米・カナダやヨーロッパ各国からも集っています。国内の勤務経験があって転職してきた方がほとんどですが、最近では、日本で初めて働く会社がU-NEXTであるという例も出てきました。
――外国籍社員の方から見た、御社の魅力は何だとお考えでしょうか。
前提として、日本で働くソフトウェアエンジニアやデザイナーが属する外国人コミュニティでU-NEXTの評判を見聞きして、社員紹介から応募いただける場合が多いです。実際に働いている外国籍の社員がU-NEXTの労働環境を魅力的に捉えてくれているのだなと自信につながりますね。
具体的な内容について。まず、日本国籍を持っていないと正社員では採用しない企業が多いと聞きますが、当社では基本的に正社員で雇用しています。労働ビザの発給条件とも密接に関連しますし、積極的に進めています。
コアタイムなしのフレックスタイムが採用されていて、かつフルリモートワークが可能な制度も評判が良いですね。全面的に施行されたのは2020年からですが、幸いうまく対応できていると思います。
日本語能力が完ぺきでなくても働けることや、給与面も魅力の一部でしょう。
――外国籍社員と日本人社員との離職率の違いはあるのでしょうか?
あまり離職率を重要視しておらず定点観測はしていないのですが、感覚的には両者の傾向に差は無いと感じています。
――外国籍社員の方が活躍するにあたって、外国籍社員の方が努力をしないといけないこと、または、企業側が工夫しないといけないことはありますか?
外国籍だから特別に何か努力が必要かというと、そうでもないと考えています。各々の母国と日本の商習慣に違いがあることは理解されている方がほとんどですから。
企業側ができる努力としては、ステレオタイプな日本企業で行われがちな「阿吽の呼吸」や「空気を読んでもらうこと」を期待する情報発信や業務フローをなるべく減らすことが大事だと感じます。「普通ならわかる」の「普通」の感覚は千差万別なので、様々な文化的背景・常識を持った人でも誤解なく行動できるようなコミュニケーションを心がける必要があります。
――外国籍社員の方が増えるにつれて、制度面で会社として変えたことや工夫したことはありますか?
例えば、ボーナス制度を止めたことがあります。ボーナスの仕組み自体が米国をはじめとする海外の仕組みとかなり異なっていて、誤解なく説明することが困難だったんですね。初期は気にならなくても、入社後しばらくしてから不信感につながると双方が損してしまいます。
重要な社内告知に関しては日本語と英語を併記するようになったのも大きな変化です。就業規則も英語版を用意しました。
また、話は少しずれるかもしれませんが、新型コロナウイルスが報道され始めた2020年2月中旬に、強い意志を持ってリモート勤務を推奨、時期によっては業務命令にまで踏み込んだことがありました。今振り返れば相当に早いタイミングでしたし、大げさな対応という見方もあったかもしれません。それでも実行したのは、SARSによるパンデミックを経験したことがある中国・台湾出身の社員たちが、素早く正確な情報を母国語で収集し、今後起き得ることを具体的に共有してくれた影響が大きかったのです。社員と家族の心と体の健康を守るための判断、迅速な行動、その後の支援の手厚さも、外国籍の社員が増えたことによって生じた変化かもしれません。
――それでは、これから外国人採用を始める、またはしている企業様に対してアドバイスやメッセージをいただけますか?
ありがたいことにU-NEXTのアプリはApp StoreやGoogle Play Storeで高得点を記録するなど客観的に見ても優れた成果をあげることができています。(編集注:iOS 4.6点、Android 4.2点。いずれも5点満点。2021年5月時点。)
このような成果は外国籍社員も含めた従業員の切磋琢磨によるものだと感じます。
採用やその後の活躍を促す社内体制づくりは簡単ではないですが、覚悟を持って投資をするだけの価値はあるのではないでしょうか。
――最後に、採用の立場から見て、今後のU-NEXTの目指すべき姿についてどうお考えでしょうか。
リモートで働いく環境が定着したことで、国も地域も、時差も超えて仕事ができる状態になりました。今後は、世界中どこからでもU-NEXTで働ける仕組みが整ってくると面白いかもしれませんね。
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