はじめに
グローバル化がますます進行する現代社会。
国際競争力がますます高まる昨今の現代社会においては、海外の優秀な人材をいかに獲得するかが焦点となっています。
本シリーズでは「外国人数のTOP7国別の特徴や接し方と日本語指導方法」と題し、日本に留学、永住、特定技能実習生として活躍する外国人材の国別の特徴や接し方と日本語指導方法をご紹介しています。
第五回目は「台湾人材編」です。
台湾は親日国の一つで、その背景として日本が50年間にわたり統治していたことが挙げられます。台湾人の在留資格別では、永住者が最も多く、技術・人材知識・国際業務、留学、日本人の配偶者、家族滞在と続きます。
本記事では、前半で台湾人の特徴や仕事観を、後半で台湾人に効果的な日本語指導方法を解説していきます。
目次
はじめに
①台湾人から聞いた台湾人の特徴や考え方
1-1 台湾人はとにかく真面目である
1-2 台湾人はスピードが早いが応用的なことが苦手である
1-3 台湾人は日本人に比べて報連相は少ない
②台湾人に日本語を教える上での有効的な方法
2-1 漢字は読みと言葉の意味だけを教える
2-2 敬語はウチとソトで使い分けることを教える
まとめ
①台湾人から聞いた台湾人の特徴や考え方
1-1 台湾人はとにかく真面目である
台湾人は真面目です。仕事において決められたことを守り手順通りにこなしていきます。
台湾国内に製造工場が多くありますが、ライン作業などの決められたことを手順通りスピーディーに処理するのを得意とする台湾人が多いのも頷けます。
また、最近では、会社に属するだけでなく、将来は独立して自分の会社を作ろうという気概ある台湾人も多いと聞きます。
仕事に対して真面目に取り組む姿勢は日本人とよく似ているので、台湾人の仕事に対する姿勢は日本社会でも好まれるでしょう。
ポイント:台湾人は真面目な人が多いです
1-2 台湾人はスピードが早いが応用的なことが苦手である
台湾人は仕事のスピードが早い人が多いと聞きます。
過程よりも結果を重視する台湾人は、とにかく仕事を処理するのが早いです。
物事に優先順位をつけて仕事をしているからこそでしょう。
ただ、仕事スピードが早い一方で、応用的なことが苦手で細部まで行き届かないという弱点もあります。
これまでのスキルを活かし、新たな顧客を獲得する新規ビジネスのような応用を効かせる仕事についてはあまり得意ではありません。
応用的なことが不得手な台湾人の弱点をカバーできるよう、雇用者側がしっかりとサポートすることが大切です。
ポイント:台湾人は仕事のスピードは早いですが応用的なことが苦手な人が多いです
1-3 台湾人は日本人に比べて報連相は少ない
台湾人は、日本人ほど報連相(報告・連絡・相談)を頻繁に行うことはしません。
海外の多くの国のように、台湾も自分の仕事役割と権限が明確になるジョブ型採用方式です。自分の仕事役割と権限が明確なので、基本的には自分主体で仕事を進めます。個人ベースで仕事をするのが台湾人の考え方なのです。
対する日本人は、組織内で協力しながらタスクを動かしていくスタイルなので、報連相を頻繁に行います。台湾人が日本国内で仕事をする場合、このあたりに大きなカルチャーショックを受けるだろうと思われます。
台湾人は、日本人のようにチームで仕事を進める習慣がほとんどないので、その分、報連相も少ないと言えるでしょう。
ポイント:台湾人は日本人ほど報連相を行わない人が多いです
②台湾人に日本語を教える上での有効的な方法
2-1 漢字は読みとことばの意味だけを教える
漢字圏である台湾人は、非漢字圏に比べて、日本語語彙習得が圧倒的に有利だと言えます。
台湾は漢字圏の国です。台湾国内では、繁体字と呼ばれる文字を使ってコミュニケーションを取っています。
繁体字は日本語の漢字に比べると画数が多いです。
漢字圏の学習者に対しては、漢字の書きについて取り立てて学習させる必要はありません。
その分、漢字の読みや語彙の意味を重点的に教えるようにします。
日本語の漢字読みですが、日本語は音読みと訓読みの二つがあります。
たとえば、食物と食べ物です。
- 食物:ショクモツ(音読み)
- 食べ物:たべもの(訓読み)
漢字圏の学習者でさえも、音訓読みをパーフェクトにできる人はなかなかいません。
台湾人学習者が日本語漢字の音訓読みに慣れるようにするための有効的な策として、文単位での音読をさせる方法があります。
まずは、ルビありで日本語の音訓読みに慣れさせます。ある程度の漢字を日本語の音でルビなしで読めるようになったら、次は一定量の文章を声に出して音読させます。
日本語の音訓読みが完璧にできるようになるまで、徹底的に練習させると効果的です。
台湾人学習者には、日本人同様に、高い日本語レベルを目指してもらいましょう。
2-2 敬語はウチとソトで使い分けることを教える
台湾国内には日本語学校が多く、中学校や高校にも日本語を学習する時間があるほどです。
かつて日本が50年間統治していた歴史的背景もあり、台湾人は日本語を話せる人が多いのは言うまでもありません。
台湾国内の日本語学科では、日本文化事情、日本史、日本政治経済、観光日本語、商業日本語などの科目があるようです。
また、日本語能力検定試験N1レベルに合格するために、日本語の聴解、読解、文法、会話などを重点的に学ぶコースもあると聞きます。
日本語能力検定試験N1を取得できたとしても、多くの学習者にとって頭を悩ませるのが日本語の敬語です。
確かに台湾にも敬語はあります。
ですが、日本語におけるウチとソトの敬語というのは、一朝一夕ではなかなか身につかないものです。
目上の人や、役職が上の人と直接対面するときはもちろん尊敬語を使います。
これは多くの学習者が理解できています。
ですが、取引先の人など外部の人に自分の会社の上司の話をする際、身内の上司を下げて、外部の人を立てる、いわばウチを下げて、ソトを上げる日本語特有の敬語を知らない学習者は多いです。
日本語に特有のウチとソトの敬語を自然に使いこなせるよう、実際のビジネス場面を設定し
イメージトレーニングさせながら練習させる方法が効果的です。
台湾人は日本語の四技能である、聞く、読む、話す、書く、これらを十分にできる学習者が多いです。
ですので、このような学習者については、日本人と同様の高度な日本語レベルに照準を合わせて指導していくのがよいでしょう。
まとめ
本日は、台湾人材の特徴や接し方、台湾人の日本語指導方法についてお話してきました。
台湾人から聞いた台湾人の特徴や考え方は?
- 台湾人はとにかく真面目である
- 台湾人はスピードが早いが応用的なことが苦手である
- 台湾人は日本人に比べて報連相は少ない
台湾人に日本語を教える上での有効的な方法は?
- 漢字は読みと言葉の意味だけを教える
- 敬語はウチとソトで使い分けることを教える
雇用主と台湾人材雇用者が円滑に仕事をしていけることが何より大切です。
台湾人材とコミュニケーションを取りながら、日々の業務を進めていきましょう。
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