自動車業界における人員不足が深刻です。自動車業界人員不足の背景として整備士の高齢化が挙げられますが、人口が年々減少傾向にあり且つ若者の整備士離れが進む日本では、国内だけで新たに人材募集するとなれば非常に困難を極めます。自動車が輸出産業の一つである国内企業は即戦力となって活躍できる人材の不足という大きな壁に直面しているのです。
本記事では人材不足が深刻な自動車業界に焦点をあてて、在留資格である特定技能で外国人材を採用する方法を外務省のデータを用い、どこよりもわかりやすく解説していきます。
なぜ外国人材は日本の自動車業界に魅力を感じるのか?
日本は世界有数の自動車産業国の一つ。日本の車に憧れを抱く外国人も多いでしょう。
では、なぜ外国人は日本の自動車業界に魅力を感じるのでしょうか。
日本の自動車業界が人気である理由として下記が挙げられるかと思います。
- 母国で知名度や信頼度があるから
- 日本の自動車業界は母国で有名だから
- 将来グローバル人材として活躍できそうな業界だから
- これまで培ってきた自身の専門性が活かせそうだから
- 小さな頃からものづくりや機会いじりに興味があったから
- 親族や知り合いに自動車業界で働く人がいるから
もちろん人によって働きたい理由は様々でしょう。
日本の自動車業界で外国人材が働きたい理由のキーワードとして「世界での知名度」「グローバル人材」「日本のものづくり」などが挙げられそうです。
自動車業界は特定技能の対象職種
自動車業界は在留資格である特定技能の対象職種14種のうちの一つです。
在留資格はビザ(査証と呼ばれることもあります)のことだと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、在留資格とビザは全く別物であるのをご存じでしょうか。
関係機関 | 具体的に何を指すのか | |
ビザ(査証) | 外務省、在外公館 | 外国人の日本への入国を推薦するもので、日本への上陸審査が通過できればビザ(査証)の役割も終わる |
在留資格 | 法務省 | 外国人が日本で行うことができる活動等を類型化したもので、上陸審査や許可の際に付与される |
在留資格である特定技能の主な特徴として下記が挙げられます。
- 在留期間は通算で上限5年までである
- 4カ月、半年、1年ごとの更新である
- 家族を連れてくることは基本的に認められていない
- 受入れ機関(又は登録支援機関)による一連のサポートが義務付けられている
- 日本語能力水準については日本語能力試験等で確認する
- 技術水準については各種技能試験で確認する
日本語試験は「日本語能力試験(N4レベル以上)」「国際交流基金日本語基礎テスト」、技能試験については「自動車整備分野特定技能評価試験」「自動車整備士技能検定試験3級」「製造分野特定1号評価試験」などが挙げられます。それぞれ一つ以上合格できていれば大丈夫です。
特定技能の在留期間は最大で5年間ですので優秀な人材であれば長期雇用できますし、更新も4カ月、6カ月、1年単位で行われます。外国人材が途中で勝手にいなくなったり突然職場を離れる心配もないので、雇用主サイドで外国人材の雇用期間調整を行うことができるのです。これは大きな企業側にとって大きなメリットだと言えます。
また、技能実習から特定技能にスムーズに移行できる方法もあります。技能実習の2号を修了することで特定技能に必要な試験を免除することができるのです。この制度があることを知れば、企業内の技能実習生を新たに特定技能として迎えることができますので活用するのもよいでしょう。
自動車業界のほかにも人手不足が問題となっている業界に「農業分野」が挙げられます。
農業分野の記事もこちらからお読みいただけます。
特定技能の自動車業界で従事できる業務はこちら!
特定技能には様々な業界があり細かく分類されています。
自動車業界で実際に外国人材が従事できる関連業務は下記のようなものがあります。
所轄機関 | 従事可能な業務 | |
自動車整備 | 国土交通省 | 自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備など |
素形材産業 | 経済産業省 | 鋳造、金属プレス加工、仕上げ、溶接、鍛造、工場板金、機械検査、ダイカスト、めっき、塗装、機械保全、機械加工、アルミニウム陽極酸化処理など |
産業機械製造業 | 経済産業省 | 鋳造、塗装、仕上げ、電気機器組立て、溶接、鍛造、鉄工、機械検査、プリント配線板製造、工業包装、ダイカスト、工場板金、機械保全、プラスチック成形、機械加工、めっき、電子機器組立て、金属プレス加工など |
電気・電子情報関連産業 | 経済産業省 | 機械加工、仕上げ、プリント配線板製造、工業包装、金属プレス加工、機械保全、プラスチック成形、工場板金、電子機器組立て、塗装、めっき、電気機器組立て、溶接など |
技術・人文知識・国際業務で優秀な人材を採用する方法もある!
特定技能や技能実習ビザ以外にも、技術・人文知識・国際業務で採用する方法もあります。
技術・人文知識・国際業務の在留資格は技能実習や特定技能に比べれば、より高度で専門的なスキルが問われます。外国人材の在留期間は3カ月、1年、3年、5年で在留資格の取得制限がなく、雇用人数の制限もなし、家族を同伴することも可能です。一定の条件をクリアすれば永住権を取得することもできます。
技術・人文知識・国際業務の関連職種についてまとめましたのでこちらをご覧ください。
技術・人文知識・国際業務の在留資格取得には、外国人材本人と雇用主側の双方にいくつか条件があります。
外国人材側の条件
- 従事する業務の技術や知識に関連する科目を専攻している
- 日本の専門学校・短期大学・大学、大学院、海外の大学・大学院を卒業している
- 10年以上の実務経験がある(大学や大学院などでの科目の専攻期間も含める)
- 本人が素行不良ではない
雇用主側の条件
- 専門的能力を必要とする業務に従事する
- 会社の経営が安定している
- 日本人と同等以上の報酬を払える
- 会社にとって雇用の必要性がある
それぞれの条件を満たしていればビザ申請できますので技術・人文知識・国際業務で外国人材を探してみるのも手です。
まとめ
今回は自動車業界の外国人材雇用について解説してきました。外国人材を雇用する在留資格は様々ありますが、日本国内の企業に長期的に貢献してくれる外国人材は特定技能で育成する方法がいいと思います。技術・人文・国際業務よりハードルが多少は低いですし、技能実習からも条件を満たせば特定技能としてむかい入れることが可能だからです。
国内自動車業界の人員不足を解決するための糸口として、まずは特定技能人材の獲得から始めてみるのもいいかもしれません。
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