インタビュー

たとえ0.5cmでも。妥協しない日本の仕事観

4人で振り返る、技能実習の思い出

技能実習生として日本へ行った4人。 「教え子に日本で活躍してもらいたい」という想いから、現在は、南日南日本語学校で日本就職向けのエンジニア育成プロジェクトに力を注いています。どうすれば日本で活躍ができるのか、日本の仕事観、日本人の働き方について伺いました。

日本へ向かうまで

――日本語を勉強するきっかけを教えてください。

Khai:最初は、日本に全く興味はありませんでした。家族に金銭面の補助をするために日本に行きたいと考え日本語を勉強しはじめました。

Tam:ベトナムのテレビを見て、ベトナム人が日本語の通訳をしているところに憧れを持ちました。そこから日本の番組を見ることが大好きになり、最終的には週3回も番組を見ていました。その頃、私の田舎にも日本語の通訳士がいて、彼に憧れて日本語を勉強しはじめました。

――日本へ行く前の日本語レベルはどれくらいでしたか?

Khai:N5レベルですね。少し恥ずかしいですが…

全員:私たちも一緒です。

Khai:日本では日本語ができないと本当に生活が不便です。日本語が全くできない私は、駅にいくこともスーパーに行くことさえも困難で、大変な毎日を送っていました。

Tien :日本語をもっと勉強したいけど、なかなか時間がありませんでした。

――仕事が忙しい中で、どんな工夫をして日本語を勉強されていたのですか?

Tien:当時、私は日本語を全然話せなかったし聞くことも困難でした。日本人に指示されても、内容の半分くらいしか理解できませんでした。そこから毎日仕事場で働く日本人の同僚と積極的に会話して、わからなければ言葉の意味をすぐに質問し誤解をなくすというように1日中工夫して、日本語しか話せない環境に自分を置いて話す練習をしようと心がけました。

Tam:私は自分で、facebookやyoutubeなどの日本語コミュニティを通じて、日本語を毎日猛勉強していました。日本にいる限り、自分で努力していかないといけないと決意しました。

Khai:僕は近くの市役所にあるボランティアの先生に教えてもらっていました。

毎週多様な国の人々が日本語を学びにきていて、私も行ける日は必ず日本人に勉強を教えてもらっていました。他には、日本語もできてベトナム語もできる友達に日本語を個別に教えてもらったりもしていましたね。

――みなさん、仕事で忙しい中、大変努力されていたんですね。

Tam:はい、日本語ができないとなにもできないと思いました。

日本での仕事について

4人で振り返る、技能実習の思い出

――仕事をするとき、日本人についてどんな印象をもちましたか?

Khai: 心が温かく、視野が広く感じます。常に私たちの動きを気にかけ、さらに、物事の先まで考えて仕事をしている姿勢がとても印象に残っています。

Tam: 毎日、日本人に色々怒られることはありましたが、それは仕事だけでした。仕事以外はとても優しく、色々教えてくれます。日本人は熱心に教えてくれますが、ベトナム人ならそんなに教えてくれません。日本とベトナムと比べて、日本のほうが好きです。日本人は時間が大切だし、考え方もはっきり、ちゃんと仕事をやりますから。

Khai:私は仕事でミスをして叱られた時に、どうしても自分の言いたいことを伝えることができなかったですね。必死になってその時ジェスチャーや手で表していました。どうしても通訳がいる場合は、組合の人に何度も協力してもらって言いたいことを通訳してもらっていました。

一度作業をしていく中で、日本人のやり方だと効率が悪いのではないかと疑問に思ったのです。それで意見を伝えたところ、私の考え方は「危険で危ないから」と否定されました。その時は、私も自分の意見を真っ向から否定されたものですから、腹が立って大声を出して喧嘩になりました。しかし、その後冷静に話し合いをして、日本人がなぜ私の意見を反対したのかという考え方を丁寧に伝えてくれました。

私のやり方は早く終わるけど、安全ではないということでした。一層手間はかかるけれど、安心で安全な日本のやり方を知り、日本人はどこまでも誠実に仕事に向き合っているのだと感心しました。だから日本は技術がここまで発展し、人々が仕事に対して熱心なのだと実感し感動もしました。会社の日本人はどこまでも親切でした。私には到底真似できないです。

 An:そうですね。私も仕事中に、単位が数ミリ違うだけで怒られました。日本人の仕事への細やかさ、仕事に対して一つも甘くない姿勢に驚きました。

 ――仕事で印象的なエピソードがあったら教えてください。

Khai:私が会社に入社した時は2006年4月でした。日本人社員が、会社の玄関前で集まって、私ともう一人ベトナム人を待ってくれていました。私たちが初めてだからという理由で、工場長もリーダーも全員迎えてくれました。その時会社に対して、家族のような暖かさを感じました。

Tam:私も、はじめて会社の社員にあいさつしに行こうと思った時、グループ長がみなさんに対して私たちを紹介してくれました。「みんな家族のように過ごしていこう」という風に声かけもしていただいた時は、本当に涙がでそうになるほど嬉しかったです。

仕事は大変忙しかったですが、仕事終わりは一緒にご飯をたべたり、話しをしたり、とにかく言葉通り家族のように過ごしていました。とても良い会社でした。

教師になってから楽しいと思うことが増えています。これから、もっともっと学生の皆さんに日本語を学ぶ楽しさを知ってもらいたいです。

――日本にいたとき、職場はどのような様子でしたか

Tam:忙しい雰囲気でした。話したり、笑ったりするような環境ではなかったです。みんな真剣に作業に向き合っている様子でした。

Tien:最初はあまりにも叱られるので、外国人差別されているかと思っていましたが、日本人から「叱って教えている。そういうふうに、新入社員全員に教えている」と言われ、納得しました。僕は建築の仕事だったので、特に仕方ないと思います。

最初は、「自分のやり方は間違っているのか?」と思いました。

ある時、「この板を5cmに切ってください」とお願いされた作業で、私が4.5cmの板を切ってしまったことがありました。

わずか0.5cmの差だけでも、ものすごく叱られました。

その時は「え?どうして?たったこれだけなのに」と思いました。今だとその意味がわかりますが、その時そんなに怒られる理由がわかりませんでした。

でも、日本人から「5cmは5cmだ。言われた通りにやってほしい」と指示され、最後まで、油断せずどの作業もきっちりやることが大切だと教えてくれました。

実際ベトナムの仕事場だと、ミスしていたとしても「別に、0.5cmくらい大丈夫」と見過ごしていたので、日本とベトナムの仕事への差を感じました。

An:私も例えば、仕事で溶接をしたときに、班長から「幅が広い」と言われたことがありました。その時、日本人はまじめだと思いました。5mmは、5mmです。

私は、日本のきっちりしているやり方の方がすきだとおもいました。できるならずっと日本で働きたいとも思っています。

日本人はルールをしっかり守るので、そういうきっちりした部分や、働くときは働く、遊ぶ時は遊ぶと、ルールが分かれているところが好きですね。

――日本での仕事で、しんどかったことはありますか

An:夜勤ですね。

夜勤の後は食事もできないくらい疲れました。一週間おきに夜勤と日勤が交互にあってとても疲れました。夜10時から朝の6時までの8時間、一週間おきです。

夜勤の時は冬だったんです。3ヶ月もの間仕事が耐えられないくらいつらかったけれど、だんだん慣れていくようになりました。

みなさん優しかったですね。鍋を一緒にたべたりしましたね。職場の方は、兄みたいな存在でしたね。

帰国後について

――帰国後の日本語レベルを教えてください。

Tam:以前はN4でしたが、今はN3を持っています。ですが、会話レベルはN2ぐらいです。

Khai:N4を取得できました。今は日本語教師ということもあり、N3をもっています。2年間ずっと日本人と暮らしているから上達した、というのもあります。

――TamさんとKhaiさんは帰国後、日本語教師をされていますね。どうして日本語教師を目指そうと思ったのですか

Tam:私は、日本との縁を感じて、帰国後、日本語に関われる仕事を探していました。その時ちょうど、南日南学校が日本語教師を募集中でした。

最初は、自分が日本語教師になるなんて、考えられなかったです。しかし、南日南の先生から、「日本語を教えれば教えるほど、もっと君の日本語が上手になる」といわれて、日本語をもう一度教えることに挑戦しようと思い、教師になりました。

Khai:私も、縁ですね。高校2年生のとき教師になりたかったのですが、どんな教師になりたいのか決まっていなかった。その後、日本語を学ぶ縁があって、日本語教師になってベトナムに学校を作りたいと思いました。

日本語教師として知識をふくらませて、日本語に関係するお仕事で、経営できるようになりたいです。

 Tam:はじめは、日本語の通訳士になるために日本語学校へ勉強しにきました。あるとき、先生たちが足りなくなり、私は日本語学校の手伝いをすることになったんです。最初は事務所の仕事をするだけだったけど、手伝っていくうちに、「正式に日本語教師になってほしい。面白いよ」と誘われて興味を持ちました。

日本語学校で学んだ内容を、自分が教えるようになって、文法など、日本語をもっと深く知るきっかけになると思っています。

Khai:皆さんもそういったご縁を大切にしてください。

――日本でのお仕事経験を活かして、これからの展望を聞かせてください。

Tien:エンジニアの育成プロジェクトを成功させることです。

Tam:日本で体験したことと、日本人から教えてもらったことを生かしたい。そして自身の日本語能力をさらにあげて、もっと日本語の楽しさを知ってもらいたいです。

そして、何より自分の教え子にたくさん日本で活躍してもらいたいと思っています。

Khai:帰国後ベトナムで仕事をする上で、客観視して、安全に段取りを考えるようになりました。日本で働いた経験がとても活きていると感じます。日本語教師として、自身が感じた働き方の感覚や経験をもとに、学生さんに面白くたのしい授業を提供していきたいと思っています。視野を広くもてるように教えていきたいです。

――編集後記――

日本語を一生懸命に学んで、ベトナムとの環境の差を感じながらも、仕事経験を重ねた4人。ベトナム帰国後のご活躍を応援しています。

ABOUT ME
渡邊 春
渡邊 春
旅行で行ったベトナムがきっかけで東南アジアの魅力を知る。 7ヶ月ホーチミン経営大学にて留学するほど、ベトナムに虜。 好きなベトナム料理は、ブンチャージオ(春巻きが乗ったまぜそば)。
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