インタビュー

平野ビニール工業がすすめる真の「多文化共生」とは

【平野ビニール工業株式会社様について】

平野ビニール工業株式会社は、繊維製品、帆布製品、車両用シート表皮の裁断縫製メーカーとして、ものづくりの頂点を目指し、日々の研鑽と堅実な成長を重ねております。
日頃からお客様に喜んで頂ける仕事を第一優先とし、思いやりの心、誠実で素直な心を忘れずに、顧客満足を追求しています。

平野ビニール工業株式会社のロゴ

会社名   :平野ビニール工業株式会社

本社所在地 :静岡県磐田市加茂725‐2

代表者   :代表取締役社長 平野 利直 様

URL    :https://hiravi.co.jp/

今回は、外国籍社員が全従業員の6割強を占める平野ビニール工業株式会社様で、外国人雇用がなぜ成功したのか、その秘密を教えていただきました。

まずは、御社の外国人採用の状況について教えてください。

日系ブラジル人の受け入れを1990年代に始めたのが最初でした。ところが思ったよりも増えず、僕が社長に就任した2004年には3~4人程度でした。

当時は日系ブラジル人の派遣が全盛で、2009年には30人程度にまでなりました。ですが、リーマンショックにより派遣切りが始まってしまいました。当社は女性社員が多かったのですが、主な生計を支える旦那さんが派遣切りにあってしまい、あわせて当社の女性社員も帰国せざるを得なくなり、辞めてしまうことが多々ありました。

丁度その頃、当社の外国籍社員向けに日本語教室を始めようと動き始めたんです。日本語教室では、毎週面白い授業をしてもらい、皆が授業を本当に楽しみにしていました。例えば、病院に一人で行けるようになることをテーマに、ロールプレイレッスンをしたり、ピザを頼めるようになることをテーマに、授業中にお店へ電話して、届いたピザをみんなで食べたりとか。始めは暗かった社員も、授業を通して明るくなっていきました。

では、外国籍社員の比率が増えていったことで、何か変化はありましたか?

2004年の外国籍社員が全くいなかった環境に、次々にブラジル人を採用していったのでそれは大変な摩擦がありました。ブラジル人の行動も大胆だったり、さぼったりなどあったので、日本人社員から色々と文句がありました。恐らくその時に、(風土に)合わない人は辞めていったんでしょうね。今では外国籍社員がいることが当たり前になってきましたが、それでも、日本人社員側は文化の違いに関する理解がなかったり、外国籍社員も相手に対して失礼なことをしてしまったりと、トラブルはいまだにあります。それも、日々解決しながら、ある程度皆受け入れていっています。

他国籍の方とトラブルになることもありますか?

それが、他国籍の方とのトラブルはあまりないんです。同じ国籍同士でのトラブルはあって、同じ国だから全員仲良しという訳ではないんですよね。住居に関しても、問題児のフィリピン人のところにベトナム人を住まわせると、意外と仲良くするんです。また、同じ仕事をしているのでお互いに競争心も煽られるようです。ただし、その風土が逆になっちゃうと最悪ですね。そうなってしまっている会社は「放置」が多いと思います。目標提示や見える化、褒賞などの管理が大事です。この会社ではこれが正しい、こういう結果を求めている、結果を出した人は褒められる、結果を出さないと評価されないので頑張りましょう、というような風土を作り上げるまでが外国人雇用だと思います。大変な事ではありますが、ここまでできると本当に社員の生産性が上がります。外国人はハングリー精神がありますので、活かし方次第では日本人を超えていく素養があると思います。

その目標管理とはどのようにされていますか?

当日の結果が翌日にはグラフ化されます。数字表記されており、目標をクリアした人は青、あと少しで届かなかった人は黄色、全然達成できなかった人は赤、というように色分けして見える化されます。また、一定期間不良が無い人は全員の前で表彰され、ちょっとしたプレゼントを貰えます。チーム制も取り入れていて、チーム全員で不良が無かったら全員が評価されます。

普段はWeb朝礼を行っており、そこで結果発表をして、全員で頑張った人を表彰したり、結果を出せなかった人を激励したりしています。それだけ、見える化は大事です。頑張っても評価してもらえない、生産性が悪くても恥をかかないなど、アンフェアな状況を作ってしまうと、人はアンフェア側に流れてしまいます。チーム制にすることによる仲間意識の醸成、目標設定、正当な評価が大切だと思います。

評価は社長直々にされるのですか?

主には管理者が話をして、僕は横にいます。実は、そこにはジレンマがありました。朝礼で管理職にいくら伝えても、その下の社員まで伝わっていないし、社長の顔なんか1ヶ月見ない人もいるわけです。それだと僕の想いは社員全員に伝わらないと思い、社長である僕自身の言葉をダイレクトに届けるために動画配信を取り入れました。

平野ビニール工業株式会社の本社の平野社長

社長自らがダイレクトコミュニケーションできている会社はなかなか無いですね。

同じことを実行できる会社は少ないと思います。ただこの方法で、会社がすごく良くなりました!という方が一人でも増えれば嬉しく思います。やはり中小企業は、特にトップの想いがないと外国人雇用はうまくいきません。総務に一任してしまっている会社は単純労働で終わってしまいます。

最後に、これから外国人雇用を考えている企業や、日本で働きたいと思っている外国人向けにアドバイスやメッセージをいただけますか?

まず、外国人の皆様にはしっかり企業をリサーチしましょうと伝えたいです。昨今では、SNSを使って希望する会社の社員と繋がることができます。そこで会社の現状を聞いてみる。そして最低限、ホームページは見ましょう。自分の夢を実現できる企業をしっかり選んでください。そこまでは自己責任になります。後悔しないためには受け身ではなく、進んでリサーチ、そしてアプローチをしてください。

また、外国籍社員の受け入れを行う企業の方々に伝えたいのは、その国のことを最低限知ってくださいということです。異なる文化、歴史的背景を知ることが大事です。その国のバックグラウンドを知らないと必ず失敗します。また、日本語教室を是非やってください。実は、費用はそこまでかからないのです。それでいて誰が喜ぶかというと、本人だけではなく、日本人社員も喜ぶんです。お互いにコミュニケーションが取れるのだから。日本語教室では「あいうえお」をやる必要はなく、働くため、また生活するための日本語教育に特化して、楽しく学べるようにすべきです。対面が一番良いとは思いますが、現代はオンラインも活用できますし、日本語教室を是非やってほしいなと思います。

あとは、社長の想いですね。単なる労働力ではなく、彼らの命もあずかっているのです。彼らを成長させて送り出す義務があります。社長の期待に対して、どれだけ頑張って成長したかをしっかり見てあげてください。

当社の教育に関しては日本語教室だけではなく、安全衛生、品質管理教育も実施しています。仕事の過程で不良が出たとして、それはなぜいけないことなのか、また、問題が起きたときに品質管理の知識があれば、その原因を考えられるようになります。さらに、設備を自分たちで直せるように、修理講習を行うこともあります。彼らの能力は無限大にあります。その点は日本人と一緒で、教育するかしないか、です。彼らが、「この会社は勉強させてくれる、エンジニアとして扱ってくれる」と理解すると自ずと頑張ってくれるのです。

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