外国人を対象とした求人票を作成する際、曖昧な表現や偏見を避け、理想的な求人票を作成するための総合的なアプローチが必要になります。業務内容や役割の明確化、給与や福利厚生の詳細、勤務地や職場環境など、具体的な情報を詳しく記載することで、入社後のギャップを防ぎます。今回は前編編として、給与、福利厚生、勤務地について詳しくご紹介します。また、次の記事の後編でお伝えしますが企業文化やキャリアパス、成長機会についても透明性を持って伝えることが求められます。
目次
1. 外国人が重視する求人票のポイント
1.1. 明確な業務内容と役割
1.2. 給与と福利厚生の詳細
1.3. 勤務地と職場環境
2. 給与面は細かく記載
2.1. 給与に関しては入社後のギャップを防ぐために細かく記載
2.2. 賞与(具体的なイメージの金額例を載せる)
2.3. 各種手当て
2.4. 研修期間の給料体系も記載しておく
2.5. 複利厚生(社宅の有無)
まとめ
1. 外国人が重視する求人票のポイント
外国人が日本での就職を考える際、求人票に記載されている情報が非常に重要です。特に、言葉の壁や文化の違いがあるため、彼らは求人票に明確で具体的な情報を求めます。業務内容や役割がはっきりしていること、給与や福利厚生が詳細に説明されていること、そして勤務地や職場環境についての情報が充実していることが、外国人にとって重要なポイントです。これらの要素がしっかりと伝わる求人票は、外国人にとって魅力的であり、安心して応募するための大きな要因となります。
1.1. 明確な業務内容と役割
外国人が求人票を読む際、業務内容や役割が明確に記載されていることを重視します。業務の具体的な内容が分からないと、自分のスキルや経験がどのように活かせるのか判断が難しくなるためです。また、役割が不明確だと入社後の期待が掴みにくく、不安を感じる要因となります。したがって、求人票には細かく業務内容が記載されていることが望ましいです。具体的には、日常的に行う業務やプロジェクトの内容、チーム内での位置づけや期待される成果などを記載することが重要です。また、求められるスキルや経験についても、具体的な例を挙げて説明することで、応募者は自分がその職務に適しているかどうかを判断しやすくなります。このような情報が詳細に記載されていることで、外国人求職者は安心して応募することができます。
【求人票に盛り込む業務内容(一例)】
・日常的に行う業務(業務の流れ)
・プロジェクト内容
・使用ソフト
・配属先のチーム構成とチーム内での位置づけ
・期待される成果
1.2. 給与と福利厚生の詳細
外国人求職者にとって、給与や福利厚生は非常に重要な要素です。日本の給与体系や福利厚生制度は、他国と異なる場合が多いため、詳細な情報が求められます。求人票には、基本給やボーナス体系、昇給の可能性について明記することが大切です。ボーナスについても初年度は特に変動があることを記載しましょう。また、福利厚生についても、健康保険や年金制度、休暇制度などを具体的に説明することで、応募者は実際に給与がいくら手元に残るのかのイメージがしやすくなります。さらに、住宅手当や通勤手当、家族手当といった各種手当についても、可能な限り詳しく記載することが望ましいとされます。
特にボーナスは一般的に入社後6ヶ月経過後に支給される企業様が多い状況です。そのため、入社の時期によっては夏or冬のボーナス支給に間に合わなく、ボーナスが初めは支給されない場合もあることを明記しておくとミスマッチが減ります。また試用期間はボーナスの査定期間に入らない場合は、そちらも併せて明記する必要があります。
1.3. 勤務地と職場環境

勤務地と職場環境の情報は、外国人求職者にとって重要な検討材料です。地方の企業である場合は、都道府県ならではの魅力を伝えると居住先での生活や休暇の過ごし方のイメージがわくため移住を前向きに考えてもらえます。また、職場環境についても、外国人が安心して働ける雰囲気やサポート体制が整っていることが伝わるように、勤務先の雰囲気やチームの構成、外国人を過去に採用しているのであれば国別に何名採用しているのかを記載するのも良いでしょう。多様性を重視した職場であることや、外国人従業員のサポート体制についても触れることで、求職者の安心感を高めることができます。このような情報を求人票に盛り込むことで、外国人求職者に対して企業の魅力を効果的に伝え、応募意欲を高めることが可能です。
・勤務地の都道府県ならではの魅力を伝える
(食べ物、気候、観光地、お祭りなど)
・勤務先の雰囲気を記載する
(和気あいあいとした職場orコツコツ真面目に取り組む人が多い職場)
・チームの構成を可能であれば記載する
(年代や人数等)
・国別に何名採用しているかを記載する
(外国人材の採用実績)
・外国人従業員のサポート体制があれば記載する
(相談窓口の有無、宗教のお祈りスペースがある等)
2. 給与面は細かく記載

給与に関する情報は、求職者にとって重要な要素ですので、できるだけ詳細に記載することが大切です。具体的な金額や支給の条件を明示することで、入社後のトラブルを未然に防ぎ、求職者が安心して応募できる環境を整えることができます。また、給与の内訳や支給日、昇給のタイミングなども記載することで、求職者が自分の生活設計を立てやすくなります。情報を丁寧に提供することで、企業への信頼感を高めることができるでしょう。
2.1. 給与に関しては入社後のギャップを防ぐために細かく記載
入社後に給与に関するギャップが生じないように、事前に詳細な情報を提供することが重要です。基本給の他に、どのような手当や福利厚生が含まれるのか、またそれらがどのように支給されるのかを明確に示すことが求められます。さらに、給与の支払い方法や支給日、昇給の有無、昇給の条件なども記載するとさらに良いでしょう。これにより、求職者は入社前にしっかりとした計画を立てることができ、企業への信頼度も向上します。特に、昇給制度や評価の基準についても詳細を記載することで、将来のキャリアプランを描く手助けになります。
【給与記載の一例】
・既卒入社1年目
(大卒、独身、月平均残業時間15時間 ※2024年6月1日から2025年5月31日までの平均)
1.月給:222,000円(基本給200,000円+時間外手当22,000円/15時間分)
2.年収:346万円(上記1+賞与年2回)※社会保険料などを差し引くと手取りは274万円前後
3.昇給 年1回(6月)
賞与 年2回(6月・12月)※昨年度実績:1年間で基本給の4か月分支給
※賞与は業績による ※賞与の金額は基本給の20万円×〇ヶ月とする
2.2. 賞与(具体的なイメージの金額例を載せる)
賞与については、具体的な金額例を示すことで求職者に対して明確なイメージを持たせることができます。例えば、年間で支給される場合は、過去数年間の平均支給額や、業績に応じた変動の可能性を記載するのが良いでしょう。また、支給のタイミングについても触れておくと、求職者が年間の収入を計画しやすくなります。賞与の支給基準や評価項目についても説明を加えると、求職者のモチベーション向上につながります。このように賞与に関する情報を詳細に記載することで、入社後の期待値と現実のギャップを減らし、満足度の高い雇用関係を築くことができます。
2.3. 各種手当て
手当てに関しても、求職者にとって重要な情報ですので、種類や金額、支給条件を詳細に記載することが求められます。例えば、通勤手当や住宅手当、家族手当、役職手当などがある場合は、それぞれの内容を明確に記載しましょう。また、手当がどのタイミングで支給されるのか、どのような条件で支給が開始されるのかも重要な情報です。さらに、手当の見直しや変更がある場合の方針についても触れておくと、求職者が安心して応募できるようになります。手当ての情報を充実させることで、求職者にとっての魅力を高め、応募の動機づけにつながるでしょう。
「営業手当」等の手当の支給開始時期は、会社によって異なるため支給開始のタイミングをきちんと記載することをお勧めします。一般的には、入社月から支給されることが多いのですが、3か月間の試用期間中は支給されないといったルールがある場合は給与のミスマッチを防ぐためにもしっかりと追記しておきましょう。
2.4. 研修期間の給料体系も記載しておく
先述しましたが、研修期間中の給料体系についても、事前にしっかりと記載しておくことが大切です。研修期間中は通常の業務とは異なる条件で働くことが多いため、研修期間の給与がどうなるのかを明示する必要があります。具体的には、研修中の基本給や手当の有無、支給日などを詳細に説明しましょう。また、研修期間が終了後の給与体系がどのように変わるのか、どのような条件で正規の給与に移行するのかも記載すると良いです。この情報を明確にすることで、求職者は研修期間の生活設計を立てやすくなり、安心して応募することができます。企業としても、入社後のトラブルを未然に防ぐ効果が期待できます。
2.5. 複利厚生(社宅の有無)
福利厚生については、求職者が企業を選ぶ際の重要な要素の一つです。特に社宅の有無は、生活費に直結するため関心が高い項目です。社宅が提供されている場合は、どのような条件で利用できるのか、家賃の補助額や入居可能な期間などを明確に記載しましょう。その他にも、健康保険や年金、休暇制度、育児休暇、介護休暇などの福利厚生についても記載することが求められます。これにより、求職者は企業で働く際の生活環境を具体的にイメージしやすくなり、安心感を持って入社を決意することができます。福利厚生の充実度は、企業の魅力を高める重要な要素となるでしょう。
「借り上げ社宅で割引価格での入居可(例:家賃相場は5万だけど2万で住める)」や、「住宅手当で〇円支給」など住居手当がある場合は記載しましょう。住居費にかかる費用を抑えたいと考える外国人労働者は多い状況です。
まとめ

理想的な求人票を作成するためには、まず企業のニーズと求める人材像を明確にし、それに基づいた具体的な職務内容と必要なスキルを記載することが重要です。さらに、企業文化や働く環境についての情報を盛り込むことで、求職者が職場での自分の姿をイメージしやすくなります。また、給与や福利厚生の具体的な情報を提供することで、求職者の関心を引き付けることができます。加えて、シンプルかつ視覚的に見やすいレイアウトを心掛け、読みやすさを重視することも大切です。求人票は企業の第一印象を左右する重要なツールであり、求職者にとって魅力的でアクセスしやすいものである必要があります。これらのポイントを総合的に考慮しながら求人票を作成することで、企業は効果的な人材採用を実現することができるでしょう。私たちOne Terraceでも受け入れ企業様と外国人応募者がマッチするような求人票作成のポイントやアドバイスも行っています。ぜひお気軽にお問合せ下さい。
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