外国人採用

初めてのミャンマー人採用。社員誰もが自信を身に付けながら働ける環境づくりのきっかけに。

今回は、神奈川県横浜市にある株式会社精美電機製作所様にお話を伺いました。
精美電機製作所様は鉄道事業に欠かすことのできない、電力用及び信号用の配電盤や切替盤などの設計・製作を手掛けており、
2022年6月にミャンマーから2名の女性技術者が入社しました。技術者2名とも社内の期待を大きく上回る活躍を見せており、その背景についてお話をお伺いしました。

株式会社精美電機製作所様について】

会社名:株式会社精美電機製作所
所在地:〒224-0053
     神奈川県横浜市都筑区池辺町3228番地
代表者:松村 義敬
URL :https://www.seibidenki.co.jp/pc/company.html

ーーはじめに御社の事業内容についてご紹介いただけますでしょうか。

私たちは電鉄会社様からのご依頼に応じて、各種配電盤の設計、製造、修理などを行っている会社です。
配電盤というのは、一度納品すればそこで終了、というものではございません。
部品の交換や修理が必要になることもあれば、使用環境によっては定期点検が必要だったりと、長く使うためには様々なメンテナンスが必要になることがあります。
弊社では、お客様にご満足いただけるよう、また安心してお使いいただけるように、アフターフォロー・メンテナンスまでしっかりと承っております。お客様のご相談に応じ、様々なフォローをご提供させていただいております。

                   <松村社長>

ーーこの度、高度外国人材の方を採用しようと思われたきっかけについて教えていただけますでしょうか。

まず、物づくり業界はほとんどが男社会です。でも、電気は男性も女性も関係なく、さらには世界中の人たちが使いますよね。だから、エンドユーザーとして女性の声も反映させたかったんです。ただ、ブランド力や認知度がそこまで高くない中小企業がどうすれば優秀な女性を採用できるのかを考えた時に、海外の方であれば、企業のブランド力や認知度以前に、就く仕事内容やその仕事を通してどうなりたいかを重視して仕事を選んでくれるのではないかと思ったんです。さらにその頃はコロナ禍で、あまり採用活動が活発ではなく、ビジネスチャンスしかないと思いましたね。

ーーそのコロナ禍ではオンラインでの面接になりましたが、困難だったことや難なく進行できたことなどご感想を伺えますか。

私自身、前職で採用や面接の経験が多く、面接に来た方のどういったところを見るべきかについては既に経験値があったので、前職同様に面接を行いました。そこに、オンラインだから、オフラインだからというのは関係ありませんでした。面接のポイントは「過去の行動」を見ることです。その個人の“思考と行動と結果のメカニズム”は入社してからも変わらないと考えています。当社は彼らの在学時の成績表も取り寄せ、採用の参考にしました。面接でいくら未来のことを話されたとしても、そこに信頼性はありません。

ーー面接時は全て日本語でしたか。

はい、日本語でした。日本語検定を持っていることを採用条件として、結果 50〜60人程集まっていただき、その中から履歴書を見て8人程に絞り込み、オンライン面接を行いました。

ーー当時、ナンさんとシュンさんの第一印象はいかがでしたか。

ナンさんは明るく、意欲的な方と言う印象でした。面接の最後に「落ちても来年もう一度チャレンジできますか」って言ってくれたんです。そういうのって嬉しいですよね。シュンさんはとても謙虚そうな方でした。当社の仕事内容に関連性の高い学部出身であり、成績も抜群に優秀でした。当初、採用人数は1人の予定だったのですが、優秀な方は是非とも採用すべきだろうと思い、今回2名が採用に至りました。面接の際には、入社前と後のイメージの違いを減らすために、会社の雰囲気がわかるようなオープニングビデオを制作して流したんです。その時は、年1回の年度末のパーティーで社員が全員映っている場面があったので、それを流しました。あとは、全ての部屋でどんな人がどのような仕事をしているのかをお見せしました。面接で相手を見る以上、こちら側もきちんとお見せしないといけませんよね。

ーーお2人の入社にあたり、社員の方々にはどのような周知を行いましたか。また、社員の方々の反応はいかがでしたか。

彼女たちの入社は、経営者の私にとってはチャンスでした。ハラスメントに関する勉強も必要になり、海外文化も知ることができる。同様に社員も成長していくだろうと思いました。彼女たちの入社をきっかけに、性別も国籍も関係なく、誰でも仕事ができる環境を整えるため、トレーニングプログラムというものを作ったんです。それは育成目的と同時に、一つ一つ段階を踏んで目標を達成させることで自信を付けさせるという目的もあります。どんな素人でも必ず製造に携われるようになるくらいのプログラムを、既存社員たちが作ってくれました。その時点で、会社として進歩ですよね。ただ、外国人材採用当時の既存社員の反応は必ずしもポジティブではなかったと思います。コロナ禍に採用をすることで、ボーナスが減るのではないかといった懸念の声があったと聞いています。でも、今では採用した彼女たちがとても戦力になっているので感謝されますね。「入れてくれてありがとうございました」って。私は必ず会社にとってプラスになると考えていました。

ーーコロナ禍の入国準備はハードルもいくつかあったと思います。

そうですね。必要に応じてオンラインでやりとりをしていたのですが、内戦が起きた時が一番苦労しました。都度宿題を出し、技術部長とやりとりをしてもらっていたのですが、内戦時にはメールや電話のやりとりが難しかったです。ただ、それ以外で苦労したことは特にありませんでしたし、初めてのことばかりで良い緊張感を得られました。準備に関しては、来日の際に必要な準備も含め、いつ入社しても良いようにしていました。例えば、住まい、契約関連、銀行口座開設、またコロナ禍だったので、ホテル滞在も可能性として視野に入れ、想定外のことはないくらいに準備していましたね。社内においては、彼女たちにしてはいけない行動やどんなことを嫌がる文化なのかといったことを学んでは、社員同士でシェアしていました。

ーー現在、お2人が携わっている業務内容と、将来のキャリアプランを教えてください。

日本人材と同様にトレーニングプログラムに則って、2年間で4部署を半年ずつ経験してもらっています。当社では“ハイブリッド社員”と呼んでいるのですが、全員が製造、設計、検査を経験して営業に行きます。社内で作られた「製品」は外に出ると「商品」になるわけですが、営業する際に「製品」を「商品」にするのって意外と難しいんですよね。なので、全部署を経験することで、その後のキャリアプランや人生にプラスになると考えています。また、入社したての頃はどこに才能あるかわかりません。そういった観点からも、社員全員同様に4部署を経験してもらうようにしています。さらに、入社2年未満のハイブリッド社員は、月に1度の会議で業務改善の提案や開発を行なっています。縦ラインを作ってしまうと、下の社員はなかなか発言することが難しくなります。その点、当社ではハイブリッド社員という括りでグループ化することで、会議でも発言しやすい環境づくりに努めています。

ーー一緒に働いてみて、率直な感想をお聞かせください。

ナンさん、シュンさんともに期待していた以上のスピードで成長してくれています。言語の壁については、お2人とも努力家ですし、とても勤勉なので問題ありませんでした。入社後も日本語検定の勉強をしていて、今度1級を受ける程のレベルです。彼女たちを採用した結果、外国人材がもっと欲しくなりましたね。そして、その彼女たちに刺激を与えられるくらいの新たな人材も。やはり、上からの命令ではなく、下からの刺激が一番成長に繋がると思いますね。


<シュンさん>

ーーそれでは、良かったことや、逆に困ったことはありましたか。

困ったことは特になく・・・、性格的にも能力的にも申し分なくて本当に尊敬します。設計をした際には、3日という驚きのスピードで図面を出してきてくれて、彼女の名前の判子が付いている図面が早くも工場に流れてきた時にはどよめきが起こった程です。もちろん、大学で学んできた成果もありますが、来日できない時期も勉強していたと思いますし、普段の努力の結果だと思います。製造に行った時は、上司に言われたことをそのままやるのではなく、図面に対する質問を沢山していたようです。まず質問をして、論理をきちんと自分の中で理解していたからこそ、図面を引く側になったとしても問題なくできたと思います。なかなか簡単にはできないことですよね。

ーー日本とは異なる価値観・仕事観を感じた瞬間などはありますか。

物事に対する真面目さや責任感、ハングリー精神もあり、違いというよりも良い部分が多く見受けられますね。また、いつでも笑顔が素敵で気持ちが良い程です。

ーーお2人のマネージメントに関して意識していることは何ですか。

彼女たちの能力に対して、自分たちの物差しで天井を作らないことです。教える側の想定する以上に能力があるかも知れませんので、能力や成果の限界を決めず、こちら側の持つ常識や物差し、感覚で相手を判断しないように心がけています。また、3ヶ月に一度は上司が部下からフィードバックを受けるような面談を設けています。細かなものを含めると、毎日の仕事が終わる最後の15分は各自部長と面談を行ない、その日の経過報告や悩みごとなどを話せる時間を設けています。


<ナンさん>

ーー外国籍社員の採用にあたって、企業側が心掛けておいた方が良いことなどございますか。

外国籍かどうかは関係なく、誰が相手でも、その人の方が勝っている部分は必ずあるので敬意を持って接するべきだと思います。究極論ですが、赤ちゃんのようにニコっとしたあの笑顔で人を癒すことなんて私には絶対できません。どんな相手であろうと学ぶことは必ずあるんです。日本人であろうと外国人であろうと、まずは敬意が必要だと考えています。

ーーそれでは最後に、外国人材採用へ一歩踏み出そうか迷っている企業様へ一言メッセージを頂けますか。

私自身、今回ミャンマーの方を採用して、これから何度でも外国人を採用したいと思えるような出会いをしました。外国人採用を経験すれば、素敵な出会いは沢山あります。特に、日本にこだわる必要はないと思いますね。外国人採用をできない理由を考えるのではなく、やってみた上で問題解決していけばいいんじゃないですかね。当社は更なる成長のために海外展開を視野に入れており、10カ国展開を検討し、その10カ国の人を採用しようと思っています。色々な大陸の人たちが、会社の中にいたら楽しいじゃないですか。文化も考え方も全て教われる、それが社内でできたら最高ですよね。それだけでアイデア力のある良い会社になっているはずです。同じ国の方ばかり採用するわけでもなく、色々な国の方たちと日本にいながら会えるって素敵じゃないですか。そんな、夢がある会社にできたらいいなと思いますね。

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