インタビュー

先代から続く町工場の技術継承のため、初めての外国人技術者を採用

今回は神奈川県川崎市にある金型設計や、製作を行う有限会社 東栄精工様にインタビューをさせていただきました。もともと日本人若手技術者の採用が難しい中、コロナ禍で外国人若手技術者採用の採用に踏み切り、2021年6月にベトナム人エンジニアに内定授与。しかし、日本政府の水際対策により入国ができたのは2022年の4月でした。

普段から身近にある製品を手に取り、研究を重ねる佐藤社長はとても熱い気持ちを持った方で、今回の外国人採用・教育についても、とても熱心に取り組んでいらっしゃり、日本という異国の地で頑張るPさんを一番に応援してくださっています。


【有限会社 東栄精工様について】

プラスチック金型設計から金型製作。
金型部品製作や金型修理・メンテナンスを行っている会社です。
工業製品の基本となる金型。
日本の製造業を活性化させる為に、ベテランの職人と若い力が
融合する技術集団として活躍しています。

<会社概要>
会社名:有限会社 東栄精工
所在地:神奈川県川崎市高津区末長4-14-12
代表者:代表取締役 佐藤 修一
URL :https://www.touei-seikou.co.jp/pc/index.htm


ーー御社の事業内容を簡単にご紹介いただけますか。

弊社はプラスチック用の金型を製造しております。
製造種類としまして幅広く対応しており、自動車、家電、携帯、医療、
アミューズメント関連等々、メーカー様、もしくは成形メーカー様からの製作依頼が
主となり、身近に必要となる樹脂部品などを製造しています。

ーー「採用したいのに人がいない」と困っている企業が多いと聞きます。
今までの採用のご経験で、難しいと感じることはありましたか。
やはり人が集まらないというのはありました。実際にハローワークなどで求人をかけていた頃、求人倍率は徐々には上がっていたとは思いますが、求職者の方々は少しでもいい会社に就職したいという希望があるようです。しかし、私はその「少しでもいい会社」というのが「どのような会社なのか」について求職者側と求人側に温度差があると感じております。
小さくてもいい会社というのはもちろんあると思いますし、弊社は小さくても一流だと頭に描きながら仕事をしています。しかし、このような温度差もあり、なかなか人が集まりませんでした。

ーー人が集まらない中、今回外国人の方を採用されたと思いますが、何かきっかけがあったのでしょうか。
弊社の取引先様でベトナムの新人技術者の方を採用されており、その方の仕事ぶりが非常に真面目で熱心に仕事をされているのを目の当たりにした事がきっかけでした。
そのお取引様にはすでに技術職の方が2名、パート社員でも10名近く外国人の方を採用されていらっしゃいました。時折外国人の方からお仕事のメールが届くのですが、不慣れながらも一生懸命に文章を作っている様子が伝わってきました。

ーーコロナ禍での面接、採用でしたが、オンラインでの面接となりましたがいかがでしたか。
とても緊張しました。(笑)オンライン自体が世の中に普及して間もないということもありましたし、不慣れな状況で色々と不安がありました。
ワンテラスさんの段取りもあり、実際に体験してみたら違和感なく面接出来たかと思います。有意義だったなぁと感じます。
大袈裟に言えば、自分の人生を左右するものだと思うので、お互いが必死だったと思います。

ーーPさんの第一印象はいかがでしたか。
一生懸命さが伝わってきて真面目な印象だったと思いますね。
それから事前資料の中に「身長を伸ばすため毎日ランニングしている」という文章が、特徴的な表現をする方だなと、書類選考の段階から印象に残っていました。
また、彼の場合は面接の時から日本に彼女がいて、「入国後には結婚したい」という話も聞いていましたので、将来に夢や希望を持って働いてくれるだろうと彼の強い意志を感じました。

ーー入国準備に関して大変だったことをお聞かせください。
やはりコロナ過という事もあり、通常よりも手続きが繁雑で、大変だったと記憶しております。
特に弊社にとって厚生労働省管轄の「ERFS(エルフス)」(入国者健康確認システム)を活用した外国人新規入国オンライン申請は鬼門でした。登録開始と同時に多くの企業さんがログインしたと思います。私も全国で1番に登録したい気持ちでおりましたし、開始される前からパソコンの前で準備していましたが、なかなかログインができなかったことと、一刻も早く登録をしたいと言う気持ちが先走り、思うように登録手続きが出来なかったと記憶しています。

その後のビザ申請や航空券の手配はワンテラスさんにお任せできたのでそこまで大変ではありませんでしたが、家探しに苦労したことを覚えています。
Pさんが住む家探しをしている中で、日本はまだまだグローバル化が進んでいないと感じました。もちろん、グローバル化が進んでいる地域もあると思いますが、大家さんが以前に経験した外国人住居者との問題によって、外国人は契約不可としていることが多かったです。
たまたま、見ていた物件でそのようなものが多かったのかもしれませんが、今回の大家さんはベトナムの方なら大丈夫ですよ、とのことで契約することができました。

ーーPさんの受入にあたり社員にはどのような周知を行いましたか。
また、社員の方々の反応はいかがでしたか。

求人を開始するタイミングで外国人採用をすることなど、面接の前から情報共有はしていましたし、最後の選考も社員全員で検討し、満場一致でPさんに決まりました。
受入れ、社員の反応、2つとも、面接の時から情報を発信していたので、特別何かという事はないですね。
強いてあるとしたら、コロナの影響でいつ来るの?ぐらいですね。

入国準備から入国日の時期はまだまだコロナの毒性や危機感も強い時期でしたので、実際に対応できるのかという心配はそれぞれあったと思います。

ーー現在Pさんが従事している業務内容について教えてください。
将来はプラスチック金型の多能工になってもらうことを目標としています。現在は、金型製作に必要な知識と技術を身に付けてもらう為に、基礎から勉強してもらっています。
既に弊社にある工作機械はほとんど使えるようになっていて、NCフライス、ワイヤーカット、成形研磨機、ボール盤、ラジアス盤、等々を使用して、簡単な製品駒製作や、モールドベースの加工をしています。
設計室ではCAD/CAMを使用して寸法確認やNCデータの作成もしております。

ーー実際に一緒に働いてみて第一印象から変わったことはありますか。
特にありませんが、教えたことの吸収は早いように感じます。
工作機械などは見て覚えてもらうのが一番なので、初めは先輩方から使い方を見て教わってもらい、わからないことなどがあれば手帳などに書いてもらうようにしています。
本当に真面目ないい子で、私が見習いたいくらいです(笑)
お茶目で可愛らしい一面もあります。

ーーPさんのマネジメントにあたり意識していることはございますか。
言葉の壁ですかね。その辺は私も不慣れなので、伝えられているか確認のため、極力Pさんに復唱してもらうようにしています。読み書きは問題ないので、言葉で伝わらないときは翻訳アプリを使用してます。

入社当初、Pさんの方から「どのくらいでできるようになりますか?」などの話はあったので、本人次第ではありますが、現在は軌道に乗っていいペースで業務を覚えていっていると思います。

仕事の中で失敗があった時には必ず報告してもらうようにしています。また、なぜ失敗してしまったのか、それを改善するためにはどうしたらいいのかなどを同じ目線になって一緒に考えるようにしています。今まで当たり前のようにやっていたことが、彼のように初めて経験する方がやってみると、全く違う視点でやり始めることがあります。そういったことは私自身も考えつかないことで新しい発見がありますし、次回以降の教育に活かせることとして初心に帰るような気持ちで勉強させてもらっています。

言語でも失敗があった時でもそうですが、「相手の立場になって考えること」を大切にしています。実際に自分が海外という異国の地へ行って、言葉もしっかりと伝わらない環境下ですぐに順応できるかといったら、難しいのではないでしょうか。その中で一生懸命に仕事を覚えたり、言葉を覚えようとしているその姿勢、気持ちに我々もいい刺激をもらっています。

ーー社員の皆様とPさんのコミュニケーションはいかがでしょうか。
特に問題はないように感じています。一緒に仕事をする中で、専門用語の難しさはあるかもしれませんが、段々と覚えていくものだと思いますので、日本語の上達とともに覚えていってもらえればと思っています。
たまに困った顔をしている時もありますが、こちらからあまり声をかけるのは彼の考える力を阻害してしまいますし、自分から聞きにいくという姿勢や自主性を大切にしています。

ーー異文化を感じた瞬間などございますか。
一緒に仕事をする中で感じることは特にありません。ベトナムの方はお昼寝が好きだと聞いたことがありますが、彼の場合はそういったことはないですね。
食事などでは、彼の奥さんが作ってくれるお弁当の中に見たことのない食材が入っていたりします。自国の味が懐かしいかなと思っていると思い、一緒にベトナム料理店へ行こうとご飯に誘うと「ベトナム料理は食べたくないです、しばらく日本料理がいいです」というので日本食を一緒に食べにいくことが多いです。
好きな食事は焼肉やお寿司など、日本人に似ているなと感じることが多いです。
強いていうなら辛いものが好きだと言っていますね。

ーーPさんが入社したことで会社への嬉しい変化はありますか。
若い方が入ったことによって夢や希望、情熱を持っている方が入ったことは我々からみても嬉しいことだと思います。今ももちろんそうですが、若い頃の自分たちも夢や情熱を持って働いていたなということを改めて感じさせてくれたような気がします。
大きい声では言えませんが、欲しいものが当たり前のように手に入ってしまう世の中ですから、日本人の若い方にはそういった気持ちを持って働く方が少なくなってきてしまったように感じます。

ーー今後の貴社の事業発展と関連付けたPさんのキャリア展望をお聞かせください。
弊社は少数精鋭での経営を考えております。
現在は基礎から学んでもらっていますが、将来的には金型技術者のスペシャリストになってもらいたいと思っています。
先輩方は多能工にお仕事をこなせる方ばかりです。PFさんにも最終的には金型製作に携わる全ての工程をお任せできるように成長して行ってほしいと思っていますが、彼なら数年もあれば辿り着けると思っています。
しかし、ものづくりに頂点はありませんので、日々上を目指して行ってほしいと思います

ーー外国人材採用へ一歩踏み出そうか迷っている企業様へ一言メッセージを頂けますか。
人手不足がお悩みの会社様でしたら、優秀な人材確保が可能だと思います。
確かに初めは海外人材というところに不安な気持ちはあるかもしれません。しかし、夢や情熱を持った若者との出会いは会社にとっていい刺激になりますし、近い未来ではよき貢献者、又は協力者、そしてその先では技術継承者として頑張ってくれると私は思っています。
弊社は外国人採用をして良かったと思います。

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