外国人を面接採用する際に、どんな質問すれば、何から訊いたらいいか分からずお困りではありませんか。
外国人は日本人とは言葉や文化背景が異なる分、採用担当者側は質問内容を事前に準備しておく必要があります。
当記事は、採用担当者側の視点に立ち、来日理由や志望動機など定番の質問に加えて、法律上必要となる書類に関する質問、外国人に配慮するべきことについても取り上げながら詳しく解説していきます。
採用担当者が外国人面接時に慎重に訊くべき質問は?
法律上必要となる書類に関する質問
「パスポートをお持ちですか、有効期限はいつですか」
「在留カードをお持ちですか、有効期限はいつですか」
「就労資格証明書をお持ちですか」
「外国人登録証明書をお持ちですか」
応募者の身元を証明するパスポート、在留資格が認められた中長期在留者向けに発行される在留カードについては、有効期限も必ず訊くようにします。万が一、有効期限切れのまま、採用直後に不法在留や不法就労が発覚した場合は、雇用主側に法的な責任が及びます。
就労資格証明書は日本国内で就労する資格があることを証明する書類です。法務大臣が認可します。外国人登録証明書については、在留カードで済みます。旧外国人登録法の証明書です。
資格書類に関する質問
「日本語能力試験(JLPT)は何級をお持ちですか」
「ビジネス日本語能力テスト(BJT)のスコアは何点ですか」
「日本語以外に、英語資格は何かお持ちですか」
日本国内で採用する場合は、JLPTやBJTで保有している級を訊きます。資格試験を通じて応募者のだいたいの日本語力は把握できます。JLPTであればN2以上を取得しているかどうか、BJTであればJ2以上を取得しているかどうかを判断基準にします。
日本語資格と併せて英語保有資格も応募者に尋ねます。TOEFL、TOEIC、IELTS、実用英語技能検定などの検定でどのくらいの点数を取れているのか参考にします。
外国人に配慮すべきこと
相手を委縮させるような圧迫面接は避ける
外国人が委縮しないよう、圧迫面接は絶対的に避けたほうが賢明です。
面接時に関わらず、相手を委縮させるようなコミュニケーションは不自然です。外国人にとって受け入れがたいものとして映るでしょう。圧迫面接を受け、嫌な印象を持った応募者は、家族、友人、知人に共有し、その後SNS等で悪い評判を拡散される恐れがあります。
シンプルでわかりやすい質問を心掛ける
どの応募者でも100%意味が汲み取れる、シンプルでわかりやすい質問を心掛けます。
日本語能力試験N2所持している外国人でも、少し複雑な日本語になっただけで、日本語の意味がうまく汲み取れず、採用側の意図とはズレた応答する場合がよくあります。
応募者のスキルは具体的に訊く
応募者が身につけているスキルは具体的に訊くようにします。
たとえば「英語で日常会話が話せますか」ではなく、「電話やメールなどでクライアントと英語で意思疎通できますか」と訊いたり、「Excelが使えますか」ではなく「Excelの表計算、グラフ作成・編集、アウトライン機能は使えますか」と訊いたりするといいでしょう。特定の場面で作業ができるかどうかを応募者の能力として判断します。
敬語が上手に使えなくても大目に見る
敬語はマナーであり礼儀ですが、外国人の場合は大目に見ましょう。
韓国人や中国人は敬語文化がありますが、日本人が話す敬語ほど細かくはありません。
口語的な表現が混ざっても気にすることなく、あくまでも応募者の話す内容を重視するようにします。
採用担当者が外国人面接時によく訊く定番の質問は?
来日理由や日本の生活に関する質問
「なぜ日本で働きたいのですか」
「日本にはどのくらいいる予定ですか」
「(家族が異国にいる場合)ご家族とは別々に暮らしますか」
どのような目的で日本へ来たのか、なぜ日本で働こうと思うのか、来日理由を尋ねます。
遠い異国の地から日本で働くことを夢見て応募したわけですから、それぞれの想いがあるはずです。日本に住んでみたかったからという至極単純な理由から、これまで培ったスキルを生かして日本で働きたいという理由まで、実に様々です。
また、家族と日本で一緒に暮らすか、それとも離れて暮らすかどうかも尋ねましょう。前者であればビザの手続きが必要ですし、後者であれば在職期間中のメンタルケアが必要になるからです。
仕事上の実績やスキルに関する質問
「当社を志望した理由を教えてください」
「今までの職歴を教えてください」
「今までの成功体験や実績を教えてください」
「仕事で大きな失敗をしたことはありますか、そこから何を学びましたか」
「当社で活かせるスキルや強みはありますか」
ミスマッチを避けるために行う質問です。志望理由を訊くことで、職務内容をきちんと理解しているかどうかがわかります。応募者の実績や成果については具体的な数字で訊くようにします。
また、失敗した経験から何を学んだか知ることも必要です。応募者の問題解決能力や行動力を判断する材料になります。
価値観や希望条件に関する質問
「仕事のやりがいを感じるのはどんな時ですか」
「仕事をする上で大切にしていることは何ですか」
「就職先や転職先の選ぶ基準を教えてください」
「前職の退職理由は何ですか」
ミスマッチを避けるために行う質問です。仕事の適性や志向性、仕事に対する心構えなどを確認するために行います。募集中の仕事内容とあまりにもかけ離れた回答する場合は、選考を見送ることを考えてもいいかもしれません。
将来の展望やキャリアプランに関する質問
「当社でどういった業務に関わりたいですか」
「当社で身につけたいスキルはありますか」
「今後のキャリアプランを教えてください」
明確なキャリアビジョンを持っているかどうかを訊きます。入社してから、1カ月目、3カ月目、6カ月目、1年目それぞれにどのようなビジョンを描いているかを尋ねることで、当社での働き方を具体的にイメージできているかどうかを判断できます。
まとめ
今回は外国人を面接採用する際の質問例について解説してきました。
定番の質問に加えて、法律上必要となる書類に関する質問、外国人に配慮するべきことなどを取り上げました。
外国人と職場を共にする機会は今後ますます増え、それにしたがって採用面接の場面も多くなることでしょう。外国人向けの完全な面接マニュアルがあれば採用面接時も安心ですから、採用担当者を中心に社内全体で共有されることを強くおすすめします。
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