外国人採用

外国人材の求人方法と採用コストの削減

外国人を採用してみたいが、求人方法や採用にかかるコストがよくわからない…。外国人採用に興味を持つ日本企業は増えていますが、日本人採用との違いがわからず不安を感じることも少なくないようです。

この記事では外国人の求人方法と採用コストの削減方法をまとめ、アジアからの高度人材受け入れの指針である「アジア・ゲートウェイ構想」と「アジア人材資金構想」についてもわかりやすく説明します。

外国人の求人方法は大きく分けて2つ

外国人の求人方法は大きく2つに分けられます。日本国内の求人と海外での求人です。

日本国内での外国人求人の動向

日本国内での外国人求人には、新卒留学生採用と中途採用があります。

外国人留学生を新卒採用する企業は年々増えており、2019年11月に発表された「2020年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によると、日本の上場企業の約20%が「外国人留学生を採用した」と回答し、上場企業の約15%は「留学生の採用活動はしたが、採用できなかった」と回答しています。つまり、上場企業の約3分の1が外国人を求人しているのです。

新卒留学生採用だけでなく、外国人の中途採用も活発となっており、外国人材を対象とした転職サイトや人材紹介会社も増えています。

海外からの外国人採用の動向

日本国内での外国人採用が難しくなっているため、高度人材を海外で直接求人することも採用の選択肢になりつつあります。技術系の即戦力人材を欲しい場合、高い日本語力よりも技術力重視で採用をすすめる企業も多く、海外の工科大学等の学生を直接採用すれば日本国内での人材争奪戦を回避できるのです。

厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)別添3「外国人雇用状況」の届出状況表一覧厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)別添3「外国人雇用状況」の届出状況表一覧

厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめで見ると、ここ数年、高度人材(技術・人文知識・国際業務の在留資格)は対前年度増減比で毎年約20%増えています。増加数を年度別でみると、平成28年度は約2万7000人増加、平成29年度は約3万2000人増加、平成30年度は約3万3000人増加、令和元年は約4万6000人増加となっています。

しかし、高度人材の増加数は日本国内新卒留学生の就職数とは比例していません。

独立行政法人日本学生支援機構が行った「外国人留学生進路状況・学位授与状況調査結果」によると、日本国内の新卒留学生(大学卒と大学院卒)が日本で就職したのは、平成26年度は約7100人、平成27年度は約8300人、平成28年度、29年度ともに約8600人です。

このことから、高度人材の増加の多くが日本国外からの直接採用だとわかります。

海外での求人方法と注意点

海外での求人方法としては、自社の提携先や取引先を通じた求人、現地の教育機関との提携などによる求人がありますが、勝手のわからない地域での人材採用はトラブルも起きやすく、現地事情に通じた人材紹介会社を利用する企業も増えています。

海外にいる外国人を採用するときに注意したいこと

海外からの直接採用で気を付けたい「見えない採用コスト」

海外から外国人材を直接採用するときには「採用コスト」だけでなく、見えない採用コストともいうべき「定着コスト」が必要です。定着コストを削減することは長い目で見ると大きなコスト削減につながります。

ベトナム、ミャンマー、インドからの高度人材の人材紹介を行っている株式会社One Terraceの試算によると、高度人材1人あたりの定着コストは5年間で約200万円となります。

株式会社One Terrace作成株式会社One Terrace作成
  • 採用コスト:紹介手数料、採用担当者の人件費、ビザの申請費用など
  • 定着コスト:日本語教育や定着支援、研修、ビザの更新申請など、外国人材が日本社会と企業に定着するための総合コスト

紹介会社の中には日本語教育や研修、定着支援のパッケージを提供しているサービスもあり(株式会社One Terraceの「チョクトリ」など)、こういった紹介会社を利用することで定着コストが大きく削減されるだけでなく定着率の良い外国人材採用ができます。

外国人の求人が増えた2つの要因

外国人の求人が日本で急速に増えている背景には、日本国内の少子高齢化による人手不足という環境要因と「アジア・ゲートウェイ構想」があります。

アジア・ゲートウェイ構想(AGW)とは

アジア・ゲートウェイ構想は2007年5月に第一次安倍内閣が打ち出した政策構想です。

ODAなどの縮小終了によって日本とアジア諸国の関係が対等になり、アジア域内に新しく生まれつつある経済秩序の中で、日本が中心的な役割を担っていくため「最重要課題10」と「重点7分野」を示したものです。アジア諸国の成長と経済発展を背景に、日本国内の制度や意識の改革を促し、今後の大きな方針を示した初めての構想といえます。

“日本の将来像を、アジアと世界の架け橋となるゲートウェイ国家として示し、社会の開放のスピードを加速化し、近隣諸国との絆を強化することで、日本はアジア諸国と繁栄を共有することができる。”

引用元:首相官邸資料『アジア・ゲートウェイ構想』平成19年5月16日「はじめに」より

「ゲートウェイ」とは異なるネットワーク規格をつなぐ装置を指します。文化やルールの異なるアジア各国を結ぶ中継地となろうという意味です。

首相官邸資料『アジア・ゲートウェイ構想の概要』平成19年5月16日首相官邸資料『アジア・ゲートウェイ構想の概要』平成19年5月16日

アジア人財資金構想

アジア・ゲートウェイ構想にもとづき、経済産業省と文部科学省による「アジア人財資金構想」が2007年から2013年3月まで実施されました。「イノベーションの源泉となる創造性・多様性をもたらす優秀な外国人をアジアから我が国に受け入れていく」 として、官民学が協力体制を築き、留学生募集、選抜、日本語教育、就職活動まで一貫した支援プログラムを実施しました。 アジア人材資金構想は、優秀な外国人材の迎え入れにおいて一定の成果をあげたと評価されています。

日本国内の新卒留学生の求人方法

ここからは日本国内にいる留学生の求人方法を見ていきましょう。民間主催の留学生向けジョブフェアや新卒採用サービスの利用以外にも、以下のような求人方法があります。

  • 大学や研究機関との連携
  • 留学生支援機関等の紹介
  • 経済産業局の就職説明会参加
  • ハローワークや外国人雇用サービスセンターの利用

大学や研究機関との連携

アジア人財資金構想事業などの後押しもあり、大学も留学生の就職支援に以前より積極的になっています。大学や研究機関との連携は成功すれば有力な採用手段となります。

  • 学校や研究機関が主催する留学生交流会に参加
  • 企業による学校個別訪問や説明会の実施
  • 学校推薦、教授推薦をもらえるよう働きかける
  • 留学生の企業訪問を随時受け入れる

自社に良い人材を紹介してもらいたいと一時的に働きかけるだけでなく、日頃から人脈づくりや教員とのコミュニケーション強化などさまざまな努力が必要です。

留学生支援機関等の紹介

留学生を支援する機関は、採用したい地域や国、学校ごとにあります。自社が採用したい人材につながる支援機関を探してアプローチすれば、アルバイトやインターンシップを希望する留学生や、就職を希望する留学生も紹介してもらえる可能性があります。

紹介手数料などは少なくてすみますが、留学生の支援を目的とした紹介となることを理解し、利用してください。

ハローワークを利用する

新卒留学生の採用にはハローワークを利用することも可能です。ハローワークで良い人材と出会えれば、採用コストはかなり少なくて済みます。ただし、ハローワークで紹介してくれる新卒人材は大学卒と大学院卒の高度人材候補者に限られます(2020年3月現在)。

新卒留学生採用を成功させるための工夫

日本国内においても海外でも、外国人材の採用においては自社の個性を打ち出すことが効果的です。企業説明会に留学生のOG・OBである社員が参加し、企業トップが自らスピーチを行うなど、前向きな姿勢を打ち出した企業は優秀な人材獲得に成功しています。

なお、新卒採用において期間を区切った「就活」を行うのは日本独自の雇用慣行で、海外の多くの国では通年で就職活動が行われます。良い人材との出会いを「就活」時期に限定しないため、留学生のインターンシップやアルバイトを通年受け入れするのも有効な試みです。

外国人の中途採用と採用コスト削減

日本で就労経験がある外国人の中途採用も定着コストが低く有効な求人方法といえます。ハローワークからの紹介(2020年3月現在、専門的・技術的分野の在留資格「技術・人文知識・国際業務」「技能」などを付与された高度人材のみ)や、外国人の中途採用を支援する転職サイト、人材紹介会社などがあります。コストを削減するためには外国人社員のリファラル採用(知人紹介採用)や自社サイトでの募集も行いましょう。

外国人を中途採用するときの注意点

日本で就労経験がある外国人の中途採用で気を付けるべきは就労ビザの管理です。就労ビザの変更や更新といった手続きを本人任せにしていると、思わぬ不備から入社が出来なくなったり、最悪の場合には不法就労を引き起こしかねません。こういった不測の事態を避けるためには就労ビザの管理システムを導入するなど、企業側も十分な工夫をしてください。

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優秀な人材は良心的な人材紹介会社から

民間の人材紹介会社を選ぶときに気を付けたいのは、その人材紹介会社がどのような姿勢で外国人材に接しているかです。日本を好きになってもらいたい、幸せに長く働いてもらいたいと考える良心的な人材紹介会社には自然と良い人材が集まってきますので、長い目で見ると紹介手数料だけで紹介会社を選ぶよりもメリットがあります。

「外国人材を紹介して終わり」の人材紹介会社と、「外国人材の定着支援も行う」人材紹介会社では、表面的な紹介手数料は同じでも、見えない採用コスト「定着コスト」が大きく異なるため、日本語教育や研修、定着支援、ビザ申請更新などをふくめたパッケージでサービスを展開する紹介会社を選ぶことが採用コスト削減につながります。

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