インタビュー

2回目の採用。日本人と変わりなく接すること、事前の社内理解の徹底が外国人技術者受入れの鍵

今回は、大阪府にある株式会社CHAMPION CORPORATIONの福田 将士様にお話を伺いました。
株式会社CHAMPION CORPORATION様は、金型用の部品を製造している企業様で、グローバル展開もされていらっしゃる企業様です。
2022年5月に3名のベトナム出身エンジニアが入社し、2023年7月には新しく2名のベトナム出身エンジニアが入社しました。

2回目のご採用に至った経緯やエンジニアの現在、社内での取り組みについてインタビューしました。
ぜひ、外国人材採用や人材育成でお悩みを抱える企業様やご担当者様にご一読いただきたいです。

【株式会社CHAMPION CORPORATION様について】

会社名:株式会社CHAMPION CORPORATION
所在地:〒578-0956
    大阪府東大阪市横枕西3番28号
代表者:水谷 昌晃
URL :https://www.champ-j.com/

−−−御社の事業内容を簡単にご紹介いただけますか。
弊社は金型用の部品を製造している企業で、大きな括りで言うと製造業になります。金型部品だけを専業で製造している企業は、国内ではおそらく10数社程でして、その中でもある程度ネームバリューはある会社だと思います。

−−−高度外国人人材を採用しようと思われたきっかけを教えてください。
弊社の中には海外で活躍していこうという考えの人間が少なかったんです。今までは、次の海外拠点など新たな拠点を出す時は、日本人スタッフが海外に赴いてローカルスタッフに技術指導を行い、1年から1年半で戻ってくるというような形を取っていたんですけど、今後の日本人技術者の不足も懸念されるので、これからは高度外国人人材の方に新拠点を立ち上げに行っていただきたいと考えたのが一番のきっかけですね。


〈福田 様〉

−−−はじめの採用の頃はコロナ禍でしたが、オンライン上での面接はいかがでしたか。
以前から、業務会議や拠点間会議を行う際にスカイプなどを使っていましたし、コロナ禍でzoomができた時には、日本人採用も含めてオンライン面接で行なっていたので、そこまで抵抗はなかったですね。オンライン上での面接は、必ずしも対面での面接と同じレベル感では見られないということをきちんと把握した上で、どういう質問をするべきかについては、元々ある程度のノウハウはありましたので、特に問題なくできました。

−−−オンラインで面接した後、実際に会ってみての印象はいかがでしたか。
オンライン面接時と実際会った時では、若干の印象の違いはありましたね。例えば、ダットさんとトンさんはパキパキした印象だったんですけど、実際空港で会ってみると、お二人ともちょっとおっとりした印象を受けました。

−−−ダットさん、フィーさん、トンさんの入社にあたり、御社の皆様にはどのような周知を行いましたか。
実は特にないんですよ。弊社の代表が外国人か日本人かという考えを持たない人間で、「今度入社する方はベトナム国籍の○○さん」と伝えるだけのことで、海外の方が来るからといって特別に何か社内周知することはありませんでしたね。社員の反応も、「あー、そうなんだ」くらいで。以前にもインドネシアのスタッフが研修ビザで来ていたり、インドネシア籍の直接雇用のスタッフがいたり、他にも中国人や韓国人スタッフもいたりという状況がありましたので、特別意識することはなかったんだと思います。むしろ、今回採用した3人は高度人材なので彼らの能力が高く、ちょっと一緒に仕事しただけでも吸収力が非常にあって、日本人スタッフの方が「このままじゃやばい」という良い意識を持ったみたいです。「もっとやらなければ」「彼らには負けられない」という声が現場から出てくるようになりました。

−−−新たにお二人が入社されましたが、今回2回目の採用に至った経緯を教えてください。
海外拠点を出すとなった時に、3人ではまず足りないので、継続的に複数年に渡って採用は続ける必要があると考えていました。2回目の採用は初めから予定していたものでした。

−−−キーさん、トゥアンさんが入社された社内の雰囲気はいかがでしょうか。
まず、3人の先輩方が社内に与えた高度人材の印象があった上で今回2人が入社して、更に同じような方が増えるんだと、既存社員側は危機感を持ったと思います。また、先に入社した3人が「自分たちが指導してあげなければいけない」という意識も芽生えたと思いますし、実際にダットくんはキーくんと早々に連携を取ってくれていたことがあって、先輩としての意識が醸成されていましたね。ただ、3人の先輩がいることに一番安心していたのは私だと思います(笑)関空からここまで連れてくれば何とかなるだろうと。はじめの3人が来た時は、コンビニでの買い物を教えるためにトンくんと一緒に行って、「こうするんだよ」と実際にやって見せましたが、新しく入社する2人にはそういったことは先輩が教えてくれるでしょう。2人も安心したと思いますし、私も何の心配もなく連れてこられましたね。また、業務中にはベトナム語での通訳は基本せず、極力日本語で会話するように伝えています。あえて、ベトナム人同士が同じ場所で働かないように配置しているので、ベトナム語を使うことも少ない状況です。日本語だけで仕事内容を完全に理解することはまだ難しいですが、分かっていないのに分かったとは言わないようにと伝えていて、そこは少しずつ改善されてきていると思います。

−−−現在、5名が従事している業務内容について教えてください。
最初に2週間程かけて各部署をローテーションで回ってもらい、彼らの適性を見て、最も合うポジションで仕事をしていただいています。例えば、プログラミングをして機械を動かして物を作るとか、PC操作をしてモデリングをして物を作るといったことが得意な方もいれば、一方で職人感覚で物を作るのが得意な方もいるなど、それぞれの特徴が一番活かせる部署配属になっています。勿論、本人の希望も聞いています。それが一番離職防止になりますし、彼らが何をしたいのか、どうなっていきたいのかについてはきちんと把握するようにしています。

−−−マネジメント方法、日本語教育、メンター制度、研修制度など、御社独自で取り組んでいることや工夫していることはありますか。
特に、外国人材だからというわけではなく、日本人の高校生相手でも同じですが、メンター制度を採用してマンツーマンでの研修は行なっていますね。あとは、寮に共同で住んでいるので、仕事終わりにも日本人スタッフがコミュニケーションをとることはあります。自主的に「僕やります」っていう数人のスタッフが、彼らにおすすめの漫画を教えたり、一緒にゲームをしたり、筋トレをしたりとか。スタッフはチームリーダーや20代後半の営業スタッフなどで、部署は関係なく、プライベートでも日本語教育とマネージメントを一気にしているイメージですね。堅苦しい研修や教育はあまりせずに、生活の中でいかに馴染んでもらうかが大事かなと思います。中でも心がけていることは、彼らに対して変に線引きをせず、日本人と変わりなく接することですね。マニュアル化された研修体制は外国人に対してだけではなく、日本人に対してもありません。彼らを特別扱いせず、個人個人に合わせて対応することを大事にしています。

−−−外国籍社員の方が活躍するにあたって、企業側が気をつけた方が良いこと、事前に準備しておくと良いことはありますか。
まず、宗教は必ず気を付けなければならないと思います。以前、インドネシアのスタッフが来た時は、イスラム教のお祈りの時間があったり、そのための部屋が必要だったりしました。彼らの文化や宗教について、日本に来たんだから日本のやり方に従いなさい、ではなく、彼らが大切にしている物事に対してきちんとした設備や時間管理、既存社員の心配りなどが必要になってくると思います。他にも、それぞれの国民性は認識しておかないといけないですよね。例えば、インドネシアは「ゴムの時間」と言われていて、時間に凄くルーズなんです。ただ、それを分かった上で、「必ず8時45分の始業には居なさい」ということを常に指導することで改善されていきます。また、中国の方は、自分に関わる事柄には、非常に努力され熱心ですが、他人の事となると少しドライな国民性で、それらが良い悪いは別として、皆違った環境の中で育ってきたわけなので、それを企業側が理解しておくことは大事なことだと思います。日本人だって、海外から見たら周りくどい国民性なんですよね。こういった風土を「明日ベトナムの方が来ます、日本人と一緒に扱いましょう」というように急に実行することはなかなか難しいと思うので、事前に社内理解を徹底しておく事前準備は必要だと思います。物理的なものは、彼らが来てからでも何とでもなるもんですよ。

−−−福田様が「出身国の国民性を大事にするべき」と考えるようになったきっかけは何ですか。
そうですね。前は日本に来たなら日本のやり方に従った方が良い、日本人と同じように接したら良いと考えていたんですが、ベトナムの技能実習生や韓国人、中国人スタッフ、インドネシアから研修で来たスタッフなど色々な方と接していく中で、それでは結局摩擦が起こるだけだなと思ったんです。よく考えてみたら、育ってきた環境が違うんだから当たり前ですよね。例えば、厳しい家庭でみっちり教育を受けて育ってきた人と、ゆるゆるの家庭で育ってきた人とでは言葉遣いが違うとか、「違い」というのは同じ日本人の中でも起こりうることですよね。さらに、それが外国人ともなると、接し方や考え方が一緒では駄目だなと思ったのが始まりでした。彼らの国の文化を理解し、国民性を意識しながら、かける言葉を変える方が良いと思います。ただ、今回採用したベトナム人スタッフの5人に関して言うと、日本人に近い考え方を持っていて、頑張るべきところはきちんと頑張るし、時間にルーズでもないし、駄目だと言われたことを自分事として受け取ろうとする姿勢もあって、特に何かものすごく意識しなければいけないことはあまりありませんでしたね。

−−−外国人材採用へ一歩踏み出そうか迷っている企業様へ一言メッセージをいただけますか。
間違いなく今後の日本の労働人口は減っていきますし、特に製造業は今後さらに人手不足になります。そんな中で、特定技能制度を利用することは一つの手段として良いとは思いますが、製造業は技術や知識を学んでやっと活躍できる仕事と考えると、3年や5年で自国に帰ってしまうことは一番勿体無いパターンだと思います。それよりも自社雇用してしまえば、間違いなく会社の人財になりますし、10年後、労働人口が減っていっても手に職を付けた『職人』として頑張っていただけるんじゃないかなと。何よりも今、日本人に欠けているハングリーさや、頑張らなければならないという意識が強いのが外国人材だと思いますし、国籍はそこまで気にせずに、皆同じ人間なんだから採用してみようというように、あまり気張らず、まずは踏み出してみた方が早いんじゃないかなと思いますね。

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