【株式会社ビーコス 金様】
―――はじめに、御社の事業概要を教えていただけますか。
私たちは主に二つの柱で事業を行っております。一つ目が多言語の翻訳・通訳事業、二つ目が外国人の人材紹介派遣事業です。多言語については、国内で最も多く希少言語を扱っていますし、外国人の人材紹介を始めたのは恐らく日本では私たちが初めてだと思います。現在の登録者数はおよそ116万5千人で、取引会社は大小問わず幅広く取引させて頂いております。
―――創業時のきっかけや想いを教えていただけますか。
創業のきっかけは、ある意味事件というか、私が日本で就職できなかったんです。やむを得ず、事業を興すことになったという感じです。その際に、外国人に向けた就職情報や媒体、外国人はどうすれば就職できるのかを教えてくれる機会が無いということに気が付き、それらをまとめたら面白いだろうなと考えたのが始まりです。そこから事業を進めて行くうちに、株式会社にしなければ人材紹介派遣事業ができないということが分かり、正式に法人化をしました。
―――将来的に考えているサービスの拡充や、取り組みたいとお考えのことはありますか。
まず、私たちの一番の強みは「人材を集めること」です。つまり、私たちが外国人人材の問屋さんとなり、私たちと同じような外国人人材エージェントの皆様に、我々のデータベースを提供したいと考えております。勿論、お客様と直接やり取りすることもあるのですが、それは抑えつつ、なるべく同じ業界の仲間同士で、より業界を大きくしていくために私たちは外国人の人材を供給していきたいと思います。
―――外国人雇用に関して約25年のご経験の中で、昔と比べて環境が変わったと感じるところはありますか。
私たちがこのビジネスを始めた頃は「外国人を採用する」という概念すらありませんでした。昨今、外国人雇用やグローバル化含め、様々な形で外国人と働くことについてイベントがあること、また業界団体があることにとても感謝をしていますし、嬉しく思っております。特に、3.11の震災後に大きく状況は変わったと感じます。日本市場だけではリスク管理が難しい、また市場を広げることにも限界があると気が付いた企業は多く、そこから外国人人材を活かすことに積極的になったということが大きく変わったことだと思います。また、今までは「外国人であればそれで良い」という考え方から、最近では「外国人であっても必要なことはきちんと確認をしよう」といった流れにもなってきており、採用自体は日本人と大差ないように変化していると感じています。
―――日本には終身雇用制度があり、それは世界から見ても日本唯一の独特な文化です。日本で働く外国人の方にとって、日本の会社に居続けるというその制度が理解されづらいと思うのですが、日本の雇用文化と外国人の方が求める働き方はどのようにうまくマッチできるとお考えですか。
一つは、私たちの会社でも行っていることですが「定期的に話し合いをすること」だと思います。外国人の中にも大きく分けると、日本のやり方に従う人とそうでない人に分けられますが、大体優秀な人というのは「自分がどうあるべきか」、「その会社での自分の存在意義は何か」を考えている人が多いです。したがって、対話の中で、将来的なキャリアステップを提示し、それに対して対話を行うことで、生じ得る“誤解”を払拭していくことが大事だと思います。例えば、中国や韓国、バングラデシュ、その他ヨーロッパの方はキャリアアップするために数年ごとに転職し、その度に給料アップさせるという文化があります。ただし、日本はそうではなく、逆に下がっていくところもありますよね。その違いも鑑みると、長く働いてもらうための我慢強さも時には必要ではないかと思っています。
―――外国人雇用にチャレンジしたものの失敗してしまったとお考えの企業様に対してメッセージをいただけますでしょうか。
失敗に至る経緯は様々あります。それらは恐らく文化の違いから生じるもので、初めは小さな“誤解”がだんだんと大きくなって、最終的には離職に至ってしまうこともあります。大切なことは「外国人を理解する」という考え方ではなく、「お互い個々の人間として理解する」という考え方を持ち、さらに世界の人材市場と日本のそれとは違うことを理解して頂きたい。世界では辞めて行って当たり前、失敗して当たり前、自己主張して当たり前というのが常識ですが、日本はどちらかというと遠慮がち、また細かい説明は無く、一言で指示を出すなど、こういった違いの部分を丁寧にすり合わせていくことでお互いの“誤解”を無くすことが必要だと思います。外国人と日本人がお互いに気持ち良く仕事をするためには、こういった丁寧な環境づくりが大切だと思います。
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