はじめに
グローバル化がますます進行する現代社会。
国際競争力がますます高まる昨今の現代社会においては、海外の優秀な人材をいかに獲得するかが焦点となっています。
本シリーズでは「外国人数のTOP7国別の特徴や接し方と日本語指導方法」と題し、日本に留学、永住、特定技能実習生として活躍する外国人材の国別の特徴や接し方と日本語指導方法をご紹介しています。
第七回目は「フィリピン人材編」です。
インドネシア同様、多言語国家としても知られているフィリピン。フィリピン人の在留資格別では、永住者が最も多く、定住者、日本人の配偶者、技能実習2号ロ、技能実習1号ロ、技術・人文知識・国際業務と続きます。
本記事では、前半でフィリピン人の特徴や仕事観を、後半ではフィリピン人に効果的な日本語指導方法を解説していきます。
目次
はじめに
①フィリピン人から聞いたフィリピン人の特徴や考え方
1-1 基本的にフレンドリーでホスピタリティ精神が高い
1-2 長期的な計画を立てるのが苦手で忘れっぽい
②フィリピン人に日本語を教える上での有効的な方法
2-1 JLPT N4に合格できる日本語力をつけさせる
2-2 英語を介して日本語会話を習得させる
まとめ
①フィリピン人から聞いたフィリピン人の特徴や考え方
1-1 基本的にフレンドリーでホスピタリティ精神が高い
フィリピン人は男女を問わず、基本的に日本人誰に対してもフレンドリーです。
フィリピン人の親しみやすい性格は、親日国であることや、一年を通して暑い南国独特の気候からかもしれません。
また、ホスピタリティ精神旺盛なフィリピン人は、相手が困ったことがあればすぐに手を差し伸べてあげるような優しさを持っています。とても優しい国民なのです。
フィリピンは多言語国家で、公用語はタガログ語と英語です。ですので、フィリピンには、英語を学ぶための語学学校が数多くあります。
フィリピンの学校は、欧米諸国の留学費用に比べてかなりリーズナブル。しかも、マンツーマンに特化した学校がほとんどです。
英語を話せる上に、フレンドリーでホスピタリティ精神旺盛なフィリピン人。彼らのコミュニケーションスキルは抜群に高いと言えそうです。
ポイント:フィリピン人はフレンドリーでホスピタリティ精神旺盛な人々が多いです
1-2 長期的な計画を立てるのが苦手で忘れっぽい
フィリピン人は、長期的な計画を立てるのが苦手で、忘れっぽい人が多いと聞きます。
長期的な計画を立てるのが苦手なことから、フィリピン人は日本人ほど時間管理に厳しくはなく、どちらかといえばルーズなほうです。フィリピンタイムと言われる所以はこのためです。
フィリピン人は待ち合わせの時間に平気で1時間遅れてきたりしますが、それほど驚くべきことではありません。
また、フィリピン人は日本人に比べて、忘れっぽい人が多い印象があります。
彼らは決して故意でやっているわけではありませんが、伝えたはずの内容が全然伝わっていないということは多々あります。
たとえば、上司から「先日のこの仕事について報告してください」と言われたとして、彼らにとっては果たしてどの仕事を指しているのか、すぐにわからなかったりします。
ですので、フィリピン人材に対しては、日本人以上に報告、連絡、相談を行うことが大切です。
フィリピン人は、忘れっぽい性格ではありますが、大きな心で見守りましょう。
ポイント:フィリピン人は長期的計画を立てるのが苦手で忘れっぽい人々が多いです
②フィリピン人に日本語を教える上での有効的な方法
2-1 JLPT N4に合格できる日本語力をつけさせる
まずは、フィリピン人材がJLPT N4に合格できるだけの日本語力を習得させることを目標にするとよいでしょう。
N4は「基本的な日本語を理解することができるレベル」として設定されているからです。
実際に出題されるN4の試験問題はひらがなが多く、漢字にはルビが振られています。
そもそも、フィリピンは他のアジア諸国と異なり、漢字を持ちません。中国人材や台湾人材と比較し、漢字などの文字認知に苦労するであろうことは容易に想像できます。
フィリピンにある多くの日本語学校は、学生募集のために、N4合格者数をどのくらい輩出したかをアピールしている所も少なくありません。
基本的な日本語を文字、文法、読解、聴解を通じて理解できるかどうかが、彼らにとっての最初の関門であると言えます。
さらに、EPAなどの介護福祉士や看護師を目指すフィリピン人材には、N4よりさらに高いレベルのN3やN2にパスできるように、日本語を訓練する必要があります。
そのためには、N4に合格することが前提条件です。
フィリピン人材に対しては、まずは、基本的な日本語をしっかりと身につけさせることから指導したほうがよさそうです。
2-2 英語を介して日本語会話を習得させる
前項でもお話しましたが、フィリピンはタガログ語と英語が公用語です。
英語を母語と同様に話せるフィリピン人に対しては、日本語を用いて直説法で指導するより、英語を介して日本語を指導したほうが有効的なのは言うまでもありません。
ここで、タガログ語、英語、日本語の文構造を比べてみましょう。
タガログ語と日本語では語順が全く異なることがお分かりいただけると思います。
タガログ語 | Kumain ako mansanas. | VSO |
英語 | I ate apples. | SVO |
日本語 | 私は リンゴを 食べました | SOV |
日本語で会話練習する前に、単に語彙を暗記させるのではなく、「英語の語順を少し変えたものが日本語である」ということを理解させた上で、会話練習するのがよいでしょう。
英語と日本語では、動詞と目的語を入れ替えるだけで済みます。
これなら、フィリピン人材にとっても割と早く理解できるのではないでしょうか。
学習者が日本語のSVO語順に慣れてきたら、日本語は主語を省略する言語であることを理解させましょう。特に日本語会話で主語が「私」のときは、省略が頻繁に起こることを必ず説明します。
フィリピン人には、英語を介した日本語会話指導が有効的です。
まとめ
本日は、フィリピン人材の特徴や接し方、フィリピン人の日本語指導方法についてお話してきました。
フィリピン人から聞いたフィリピン人の特徴や考え方は?
- 基本的にフレンドリーでホスピタリティ精神が高い
- 長期的な計画を立てるのが苦手で忘れっぽい
フィリピン人に日本語を教える上での有効的な方法は?
- JLPT N4に合格できる日本語力をつけさせる
- 英語を介して日本語会話を習得させる
雇用主とフィリピン人材雇用者が円滑に仕事をしていけることが何より大切です。
フィリピン人材とコミュニケーションを取りながら、日々の業務を進めていきましょう。
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