はじめに
グローバル化がますます進行する現代社会。
国際競争力がますます高まる昨今の現代社会においては、海外の優秀な人材をいかに獲得するかが焦点となっています。
本シリーズでは「外国人数のTOP7国別の特徴や接し方と日本語指導方法」と題し、日本に留学、永住、特定技能実習生として活躍する外国人材の国別の特徴や接し方と日本語指導方法をご紹介しています。
第四回目は「インド人材編」です。人口数でみれば、中国に次ぐのがインドです。
インド人就労者の在留資格別では、技術・人文知識・国際業務ビザ所有者が最も多く、家族滞在、永住者、技能ビザ、留学、企業内転勤と続きます。インド人には優秀なITエンジニアが多くいるので、今後、日本国内でもインド人採用枠が拡大していくことでしょう。
本記事では、前半でインド人の特徴や仕事観を、後半でインド人に効果的な日本語指導方法を解説していきます。
目次
はじめに
①インド人から聞いたインド人の特徴や考え方
1-1 インド人は合理的な思考を持っている
1-2 インド人は個人主義だが対話能力に長けている
1-3 インド人は言わずと知れて語学が堪能である
②インド人に日本語を教える上での有効的な方法
2-1 日本語の文構造を指導する
2-2 文構造から日本語会話を指導する
2-3 漢字の読みと語彙を関連づけて指導する
2-4 ひらがなとカタカナは分けて指導する
まとめ
①インド人から聞いたインド人の特徴や考え方
1-1 インド人は合理的な思考を持っている
インド人は合理的な思考の持ち主が多いと言われています。
MicrosoftやGoogleなど、世界的なIT企業の最高経営責任者には、インド出身経営者が多いです。合理的な考え方を持つインド人は、長期的スパンより、短期的間で物事を決することを好む人が多いと聞きます。
例えば、新規クライアント獲得の場面で、日本人であればクライアントと関係を構築するまでに長く時間を取ることも厭いません。しかしながら、インド人の場合、クライアントが取引に応じないのであれば、見込みがないと判断し早い段階で見切りをつけることも多いようです。
合理的であるがゆえに物事の決断が早いインド人。日本人の仕事観には新しい、ある意味、短絡的な思考を持った人たちだと言えるでしょう。
ポイント:インド人は合理的な思考を持っている人が多いです
1-2 インド人は個人主義だが対話能力に長けている
インド人は、個人主義の人が多いようですが、それと同時に、相手との対話能力に長けている人も多いと聞きます。
たしかに、インド人が仕事をするときは限りなく個人主義に近いです。個人主義の人々が多いからこそ、インド人には起業家精神が旺盛な人が多くいるというのも頷けます。どちらかといえば、集団主義の中で動いている日本人と比べて、この点が大きく異なるでしょう。
ですが、個人主義だからといって、個々人がそれぞれのやり方で仕事をするだけではありません。インド人は必要に応じて、出来る限り相手と対等な形で話し合いをしながら、業務を進めることを好むのです。
さらには、対話だけにとどまらず、対話を通じて双方間で合意を図ることも得意とするのがインド人の強み。ビジネスにおいて抜群の対話力を持つ起業家精神旺盛なインド人に見習うべき点は多くありそうです。
ポイント:インド人は起業家精神溢れ対話能力に長けた個人主義者が多いです
1-3 インド人は言わずと知れて語学が堪能である
インドは、言わずと知れた多言語国家です。
多言語国家ゆえに、この国で生活する人々は語学が堪能でそれが当たり前となっています。
インドは世界で二番目に人口が多い国です。国内で話されている言語は、22前後の公用語と2,000前後の地域方言があると推定され、この背景に、インドには18の州があり、それぞれの州には州の公用語があることが挙げられます。
インドの公用語として広く認知されているのが、英語とヒンディー語です。大概のインド人はこの二言語と生まれた地域の方言を話すことができます。
合理主義で、個人主義だけれども対話能力に長けていて、マルチリンガルのインド人。
まさに「鬼に金棒」。インド人がいかに優秀かがよくわかります。
ポイント:インド人は多言語国家で生まれ育ったゆえに語学が堪能な人が多いです
②インド人に日本語を教える上での有効的な方法
2-1 日本語の文構造を指導する
日本語とインド発祥の代表的な言語は、実は文構造がほとんど同じです。
ですので、インド人には日本語の文構造を理解させることから始めるとよいでしょう。
両言語共に主語(S)+目的語(O)+動詞(V)構造です。
下記では日本語と比較しながら、インド発祥の言語として、ヒンディー語とタミル語
を挙げていきます。
- 主語(S) 目的語(O) 動詞(V)
日本語: 私は カレーが 好きです
ヒンディー語: ムジェ カリー パサンドハェー
タミル語: ナーン カリー ウンネイヴィルンビギリィ
ヒンディー語とタミル語は共に、日本語の文構造とよく似ていると思いませんか。
効率重視のインド人に日本語を教授する際はやはり文法の型から入るといいでしょう。
2-2 文構造から日本語会話を指導する
インド人にはSVOの文構造から日本語会話を指導する方法が有効的です。
前項目で、日本語とインド発祥の言語間の文構造が似ていることがわかりました。
この類似点を活かしながら、インド人に日本語会話指導を行っていくとよいでしょう。
元々、インド人は語学が堪能でコミュニケーションを得意とする人々です。
インド国内の日本語を全く知らないというインド人でさえも、日本語の簡単な挨拶会話などは、すぐに口から出てきます。ビジネス上で日本語を使うインド人ビジネスマンであれば、尚更です。
両言語間で文構造が似ている点をフルに活かし、日本語会話を指導していくことで学習者側も単なる丸暗記ではなくなります。
インド人学習者には、文構造を理解させた上で、日本語会話を指導していきましょう。
2-3 漢字の読みと語彙を関連づけて指導する
日本語会話をより豊かにしていくために、学習者にとって欠かせないのが語彙です。
日本語の文字表記には、漢字、ひらがな、カタカナの三種類がありますが、インド人
学習者に限っては、漢字から教えるとよいと思います。
理由として、ひらがなとカタカナは文字表記が似ているため、混乱しやすいからです。
漢字を教える際などは、音訓の読みと語彙を関連づけて指導することが大切です。
たとえば、「日」という漢字の場合でみていきましょう。
漢字(読み) | 語彙の例(読み) |
日(にち/ヒ・ビ) | 日付(ヒづけ) 日曜日(にちようビ) |
漢字の語彙を字面で提示するだけでなく、音訓読みと日本人がよく使う語彙の例も併せて提示することで、学習者の理解も深まります。
さらに発展的な学習をさせたいのであれば、学習者に語彙の例を使って日本語の文を作らせ、教師が添削するのも有効でしょう。
何でも効率的に押さえようとするのがインド人です。
インド人に漢字指導をする際は、漢字に音訓読みと語彙例を提示し、一度に複数を関連づけて覚えさせる方法を試してみてください。
2-4 ひらがなとカタカナは分けて指導する
漢字の音訓読みはそれぞれカタカナとひらがなが読めなくてはなりません。
ですので、漢字に音訓読みが必要になることを理解したインド人学習者の次のステップは、ひらがなとカタカナです。
初級者向けの日本語の教科書の漢字上には、たいていルビで読み方が付してあります。
ルビはひらがなで書かれてあることがほとんどですから、カタカナよりも先にひらがなを習得させるほうがよいでしょう。
学習者に指導する際は、カタカナをひらがなで読ませる手法が非常に効果的だと思います。カタカナが文中に出てきたとしても、教師がひらがなでルビふりをしてあげることで、学習者はひらがなのまま読むことができるからです。
ひらがなの読み方で覚えたカタカナを、最初のうちはひらがなルビありの補助輪付きで読ませます。学習者が慣れてきたら、徐々に補助輪を外し、ひらがなルビなしで読めるように指導していくのです。ステップを踏めば、学習者自身も成長を感じながら日本語を学べるはずです。
漢字、ひらがな、カタカナそれぞれを、効率重視のインド人に合わせて指導していくことが何より大切です。
まとめ
本日は、インド人材の特徴や接し方、インド人の日本語指導方法についてお話してきました。
インド人から聞いたインド人の特徴や考え方は?
- インド人は合理的な思考を持っている
- インド人は個人主義だが対話能力に長けている
- インド人は言わずと知れて語学が堪能である
インド人に日本語を教える上での有効的な方法は?
- 日本語の文構造を指導する
- 文構造から日本語会話を指導する
- 漢字の読みと語彙を関連づけて指導する
- ひらがなとカタカナは分けて指導する
雇用主とインド人材雇用者が円滑に仕事をしていけることが何より大切です。
インド人材とコミュニケーションを取りながら、日々の業務を進めていきましょう。
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