はじめに
グローバル化がますます進行する現代社会。
国際競争力がますます高まる昨今の現代社会においては、海外の優秀な人材をいかに獲得するかが焦点となっています。
本シリーズでは「外国人数のTOP7国別の特徴や接し方と日本語指導方法」と題し、日本に留学、永住、特定技能実習生として活躍する外国人材の国別の特徴や接し方と日本語指導方法をご紹介しています。
第二回目は「ベトナム人材編」です。
ベトナム人就労者の在留資格別では、技能実習生が最も多く、次いで留学生、就労ビザと続きます。職を求め日本国内で急増し続けるベトナム人ですが、その恩恵は計り知れず、日本経済はベトナム人が支えていると言っても過言ではありません。
本記事では、前半でベトナム人の特徴や仕事観を、後半でベトナム人に効果的な日本語指導方法を解説していきます。
目次
はじめに
①ベトナム人から聞いたベトナム人の特徴や考え方
1-1 ベトナム人は真面目で協調性がある
1-2 ベトナム人は報連相を頻繁にしない
1-3 ベトナム人は仕事に対する見切りが早い
1-4 ベトナム人は家族との時間を最優先する
②ベトナム人に日本語を教える上での有効的な方法
2-1 体感で拍とリズム感覚を身につける
2-2できるだけ 平らに話せるようにイントネーションを指導する
2-3 漢越語を活用しながら漢字語彙を習得する
まとめ
①ベトナム人から聞いたベトナム人の特徴や考え方
1-1 ベトナム人は真面目で協調性がある
ベトナム人は概して真面目で協調性があります。ですので、日本での就業環境には特段問題なく、比較的早く馴染むことができるはずです。
また、ベトナム人は一旦仕事を与えられたら最後までやり遂げようします。細かく指示されたことは完璧にこなし、仕事上でつらいことがあったとしても、多少のことでは動じない忍耐強さを持っている人が多いです。
加えて、ベトナム人は向上心があります。スキルや知識習得に貪欲な人が多く、とりわけ仕事におけるスキルアップが給与に反映されるとわかれば、意欲的に取り組むでしょう。
ポイント:ベトナム人は日本人同様、真面目で協調性がある人々です
1-2 ベトナム人は報連相を頻繁にしない
ベトナム人は、報連相(報告・連絡・相談)を日本人のように頻繁に行うことはしません。そもそも仕事上で、報連相を行うことの必要性すら感じていない人が多いのです。
たとえば、ベトナム人は仕事の進捗や結果を自分から上司に報告することはしません。上司から随時確認を入れなければベトナム人は報告してくれない、と理解したほうがいいでしょう。
また、業務を遂行する上で上司や同僚に共有すべき連絡事項があるにも関わらず、ベトナム人は迅速に必要な情報を伝えなかったりします。
最も大変なのは、仕事上でミスをしてしまった時です。小さなミスの場合、ベトナム人自らが申し出ることはほとんどありません。実際に事が大きくなったその時になって、ようやく報告をしてきたというのは往々にしてあるものです。
ベトナム人と一緒に働くときは、日本人同様に報連相が当たり前にできると思って接してはいけません。同僚や上司が頻繁に声をかけ、彼らの様子を見守りながらマネジメントすることが大切です。
ポイント:ベトナム人は日本人ほど、報連相をしない人々です
1-3 ベトナム人は仕事に対する見切りが早い
ベトナム人は、仕事に対して見切りをつけるのが日本人よりも早いです。20代の離職率は日本人に比べて、二倍近いと言われています。
職場を離れたくなってしまう原因は、もちろん個々人によって異なるでしょうが、主な理由として、仕事内容、労働時間、同僚や上司との相性、給与待遇などが挙げられます。
また、ベトナム人にとって自分が働く職場環境は何よりも大事です。働き心地の悪さを感じれば、退職したい旨をすぐに示してくる可能性があります。
友人や知り合いなど、仲間と一緒に職場に入り、うち一人が不満で退職の意思を示してきたとしましょう。この場合は大変厄介で、本人に加えて、仲間も職場を辞める可能性があります。ベトナム人による芋づる式の職場退社だけは、なんとか避けたいものです。
早期退社を防ぐためにも、ベトナム人が働きやすいような職場環境を整えることが大切だと言えます。
ポイント:ベトナム人は日本人よりも、仕事に対する見切りが早い人々です
1-4 ベトナム人は家族との時間を最優先する
ベトナム人は家族との時間を何より大切にします。家族を大切にする文化は東南アジア諸国に広く根付いていますが、とりわけベトナム人は家族第一主義です。
たとえば自分の家族が病気になったら、看病をするために仕事を休むのが日常茶飯事です。何か大切なイベントがあれば、その度ごとにためらうことなく仕事を休むでしょう。
家族のことよりも、どちらかと言えば仕事を優先しがちな日本人の価値観を、ベトナム人はなかなか理解できないかもしれません。それだけベトナム人は、仕事よりも家族との時間に重きを置く人々なのです。
ポイント:ベトナム人は日本人以上に、家族との時間を大切にする人々です
②ベトナム人に日本語を教える上での有効的な方法
2-1 体感で拍とリズム感覚を身につける
日本語は拍を持つ言語です。基本的に、日本語のひらがなやカタカナ一文字を1拍として扱います。長音(ー)、促音(っ)、撥音(ん)も1拍で、拗音(きゃ、きゅ、きょ、ティ、など)については大文字と小文字の文字上は2文字ですが、1拍として扱います。
学習者が拍感覚を捉えやすくするために、教師は学習者の前で、実際に手を叩いて見せる方法が効果的でしょう。
例を挙げます。
たとえば、拗音が登場する「ボランティア」は、5拍です。
ボランティア(ボ・ラ・ン・ティ・ア)
- 1 2 3 4 5
また、拍感覚に加え、日本語はリズム感覚も持つ言語です。実際の日本語は拍感覚をベースにした、リズム感覚で話されています。
外国人が日本人らしく日本語を発音できるようになるためには、拍感覚に加えて、リズム感覚を体得することが重要です。
例を挙げます。
たとえば、「おはようございます」を拍感覚とリズム感覚それぞれで捉えた場合は、次のようになります。
拍感覚の場合
おはようございます(お・は・よ・う・ご・ざ・い・ま・す)
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9
リズム感覚の場合
おはようございます(おは・よう・ご・ざい・ます)
– 1 2 3 4 5
私たち日本人が「おはようございます」と挨拶する時は、拍感覚ではなく、リズム感覚で挨拶しています。リズム感覚で日本語が話せるようになれば、学習者も自身も、より日本語らしい発音で話せるようになるはずです。
まずは基本の拍感覚を体得させ、感覚が掴めてきたら、より日本語らしい自然なリズム感覚を身につけさせるとよいでしょう。
2-2 できるだけ平らに話せるようにイントネーションを指導する
イントネーションは文全体における、高低の抑揚を指します。日本語のイントネーションは、疑問文を除くほとんどの文は「への字型」のイントネーションです。ベトナム人が日本語文を話すとなると、日本語イントネーションがうまくできず、苦労する人が多くいます。
なぜなら、ベトナム語には声調が六つもあるからです。平坦調、上昇調、下降調、下降上昇調、急上昇調、急下降調で、ベトナム語は日本語以上に発音上の高低が頻繁に出現する言語であることを押さえておけば、学習者に対し指導がしやすくなります。
日本語の「への字型」イントネーションの有効的な指導方法として、次の順番で理解させるとベトナム人学習者も定着しやすいはずです。
- 日本語を話すときは高低を頻繁に入れないように約束させる
- 教師が山を描きながら、イントネーションを理解させる
ベトナム人学習者が日本人らしく日本語を話せるよう、ベトナム人の声調特徴を理解しながら指導する方法が有効的です。
2-3 漢越語を活用しながら漢字語彙を習得する
漢越語という言葉を初めて聞いた方も多いのではないでしょうか。
漢越語とは、ベトナム語における漢字や漢字語などの漢字起源の語彙のことを指します。ベトナム語に漢越語があるのは、ベトナム語が中国語と同様に声調を持つからだと言われているのです。
ベトナム語の漢越語は、音として残っているだけで、中国語や日本語のように、文字として漢字を使うわけではありません。ですが、全ベトナム語彙のうち、漢越語はなんと6-7割を占めており、日本語漢字の読みに似ているのです。
いくつか例を挙げます。漢越語の読みが日本語の音と似ていることは明らかです。
日本語 | 漢越語 |
注意 | CHÚ Ý |
大学 | ĐẠI HỌC |
意見 | Ý KIẾN |
漢越語全てが日本語漢字の音に似ているわけではありませんが、漢越語を活用しながら、日本語の漢字語彙を習得することは、ベトナム人にとって学びやすいと言えるでしょう。
まとめ
本日は、ベトナム人材の特徴や接し方、ベトナム人の日本語指導方法についてお話してきました。
ベトナムから聞いたベトナム人の特徴や考え方は?
- ベトナム人は真面目で協調性がある
- ベトナム人は報連相を頻繁にしない
- ベトナム人は仕事に対する見切りが早い
- ベトナム人は家族との時間を最優先する
ベトナム人に日本語を教える上での有効的な方法は?
- 体感で拍とリズム感覚を身につける
- できるだけ平らに話せるようにイントネーションを指導する
- 漢越語を活用しながら漢字語彙を習得する
雇用主とベトナム人材雇用者が円滑に仕事をしていけることが何より大切です。
ベトナム人材とコミュニケーションを取りながら、日々の業務を進めていきましょう。
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