前編に続き、福井県にある日本真空化学株式会社の海道社長、海道幸子様、海道拓也様にお話を伺いました。
本記事では、前回のインタビュー後、改めて企業様にご訪問させていただき、エンジニア入社後の社内の印象や現在の取り組みについてインタビューしました。
前編をまだご覧になっていない方は、ぜひ前編の記事をご一読ください。
【日本真空化学株式会社様について】
−−−HさんとLさんの入社にあたり貴社のみなさまには、どのような周知を行いましたか。
田舎なものですから外国の方に慣れておらず、中には外国に怖いイメージを持っている社員もいました。そこでまずは社員を集め、お二人について、大学を卒業後に初めて日本に就職しに来た人であることと、彼らと文化や食事などの違いがあることは当たり前のことであるので寛容に受け入れて欲しいと説明をしました。
他にも、受け入れる側としての日本人社員向けセミナーと、入社するご本人の語学力及びスキルアップセミナーを受けました。日本人社員向けセミナーには上長も参加し、ベトナムの国や人々のこと、受け入れ時の心構えなどについて教わり、参加者にはそこで教わったことを周知徹底するようにお願いしました。
−−−実際に入社してみて、当時の社内の反応はいかがでしたか。
若い方が入ってきてくれたというだけでも既存社員への刺激になりますし、組織が活性化されました。皆、彼らを歓迎し、息子のように指導してくれています。本人たちも勤勉で自主性があるので、「教えてあげよう」「教わろう」というお互いの心がけがうまくマッチしているように感じています。
仕事では、お二人とも効率良く働くために何をどう改善すべきかを考え、それを実践できる方々です。お願いした仕事を“指示待ち”するのではなく、どうしたら期限までにできるかを自らきちんと工夫するんです。また、一度教えたことをスキルとしてしっかり吸収できる優秀な方ですね。日本人にもそのような優秀な方はいるんでしょうけど、やはり大企業に行ってしまうことが多く、なかなか採用が難しい。国籍は関係なく、入社していただいた方には複数の部署や多くの工程をたくさん経験し、スキルアップしていただきたいと思います。今回入社いただいたお二人はスキルアップしようとする心がけをお持ちですし、彼らの成長に合わせて既存社員の教え方など、社内全体的にスキルアップしているように感じます。
−−−現在、HさんとLさんが従事している業務内容について教えてください。
彼らは技術部に所属し、3D図面制作や3Dプログラムを作って機械を動かすといったことをしていただいています。既存の日本人社員には機械導入の際に1泊2日で講習会を行いますが、勿論すぐに習得することは難しいんです。一方で、お二人は既に大学で学んでいたため基礎を熟知していますし、作業効率を上げてくれますので、優秀な人材に来ていただけて良かったと思います。
−−−お二人の入社後1年以上経ちますが、変わったことはありますか。
1年も経つと無くてはならない存在ですし、周りから頼りにされるまでに成長しています。新部署を立ち上げる際には、キーマンとして動いてもらう程です。彼らは吸収力がある上に、課題を次々に解決していく力と提案力があるので会社としては助かっています。
当初は、お二人ともに図面制作や機械のプログラミング、新製品開発をお願いするつもりだったのですが、彼らの性格と実際の仕事姿を踏まえ、Hさんには予定通りの業務をお願いしている一方で、Lさんには実際に工場に出向き、機械を動かしながらプログラミングしたり、新規プロジェクト立ち上げ業務に携わったりするなど、お二人の特性に合った業務をお願いするようになりました。
−−−マネジメント方法、日本語教育、メンター制度、研修制度など、企業独自で取り組んでいることや工夫していることはありますか。
企業側から特別に何かしているわけではないのですが、彼ら自身から、既に受かっている日本語検定に再度チャレンジしてより高い点数を取ると言ってくれたり、福井県の外国の方が集まる施設に出向いて勉強や交流したり、とてもチャレンジ精神があるなと感じますね。社内報は1年前から続けていて、本人たちの言葉を、書面を通して社員に発信できるところが良いと思っています。
彼らは仕事だけではなくプライベートでも日本を楽しもうとしていて、他の社員と一緒にツーリングしたり、バーベキューしたりしています。他にも地元の海の掃除が年に一度あるんですが、ボランティアとして集まり、そういった活動にも自発的に参加してくれるところが素晴らしいと思いますね。
−−−外国籍社員の方が活躍するにあたって、企業側が気をつけた方が良いこと、事前に準備しておくと良いことはありますか。
社外での話になりますが、詐欺にあってしまった子がいまして・・・相談を受けられていれば、フォローできたかも知れないなと。相談窓口のように、普段の生活の事でも何かあったら言いやすい、相談しやすい環境作りがあったら良かったのかも知れません。
あと、社宅については一人一部屋でプライベートを確保しています。場所は会社からの距離や周辺環境を鑑みて、本人たちにどこに住みたいか決めてもらいました。また、コミュニケーションについては先程も少し触れましたが、バーベキューなど社内交流すると喜んでくれますね。バーベキューは年に1回程度ですが、他にも会社の親睦団体がありまして、今まではコロナ禍で難しかったものの、今年は新入社員歓迎会やお花見、忘年会など何かしら行事をしたいという希望があるみたいで。新たにHさん、Lさんお二人に入社していただいたので、会社としては社員交流も後押しできればと思っています。
−−−外国人材採用へ一歩踏み出そうか迷っている企業様へ一言メッセージをいただけますか。
中小企業が人材を獲得することが決して簡単ではない中、国籍で人を選んでいては、この先ますます厳しくなっていくと思います。「外国人=安い労働力」ではありません。弊社では高度技術者として受け入れ、実際に高度技術を必要とする仕事をしてもらっています。外国の方であろうと、高度な技術を持った方に来てもらえるなら悩む必要はないと思います。企業側の受け入れ体制と彼らの社宅などの生活環境さえ整えられれば良いのですし、優秀な外国の方を採用していかないと中小企業は存続が危ぶまれる状況だと思っています。弊社で言うと、周辺の工業高校の生徒は就職先が既に決まってしまっていたり、県外に出た方はなかなか戻ってこなかったり、残念ながら地域の過疎化も進んでいたりという状況です。そんな中、外国人採用をしてから約2年経ちますが、ベトナムの方は性格が穏やかな方が多いのか、謙虚でありながらも、お願いした仕事はきちんとする、とても一緒に仕事をしやすいように感じます。やはり、やってみないと分からないことがあるなとつくづく感じましたね。
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