外国人材が、急に退職を申し出てきた時、必要書類は何から案内すればいいか、スムーズに退職手続きを済ませるにはどの手順で案内すればいいか、お困りではありませんか。
外国人材が退職を申し出た場合は、基本的には日本人同様の手順です。しかしながら、本人が帰国するとなった場合は退職時に案内する内容が変わってきます。
当記事では、外国人材の退職手続きをスムーズに進めるために取るべき、会社側の手続きと外国人材本人の手続きをまとめて、わかりやすく解説します。
外国人材の退職申し出以降に会社側が行う手続き
厚生労働省ホームページより、『「外国人雇用状況の届出」は、全ての事業主の義務であり、外国人の雇入れの場合はもちろん、離職の際にも必要です』とあります。届け出を怠ると、30万円以下の罰金が科せられるので、迅速かつ慎重に届け出処理を進めましょう。
外国人雇用のルールについてのパンフレットをご確認ください。
1.雇用保険被保険者資格喪失の届出
外国人材が退職することが決まった場合は、まず「雇用保険被保険者資格喪失」の届け出を行います。ハローワークへ提出します。
記入欄は1から26まであります。被保険者が外国人の場合は、14から19の記入を必ず行ってください。
雇用保険被保険者喪失資格はこちらからダウンロードできます。
2.退職証明書を発行
「退職証明書」は、退職する外国人材から申し出があった場合に作成します。外国人が入国管理局への手続きの際に添付書類として提出するのに必要です。
外国人が入国管理局へ提出する際、雇用されていた期間や業務の内容、解雇の理由などがチェックされますので、適切に記入します。
退職証明書発行にあたっては、労働基準法第22条第一項に「労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。」と記載があります。
このことから、たとえば、退職の事由をとりたてて明記しないでほしいと本人から要請があった場合、本人の意向に従う形になります。
退職証明書のテンプレートはこちらからご確認ください。
3.その他の必要手続き
雇用保険被保険者喪失資格、退職証明書以外にも会社側が行う手続き処理があります。
- 離職票交付
- 源泉徴収票交付
- 健康保険証回収
- 貸与品(備品など)回収
- 労働保険、社会保険の資格喪失手続き
- (退職予定者へ)業務引き継ぎ書作成要請
- 誓約書(守秘義務など)記入要請
上記は、日本人が退職する場合と同様の手続きです。
離職処理が滞りなく行えるよう、チェック項目などを作成して、それに沿って進めるとよいかと思います。
退職を申し出た外国人材が行う手続き【日本に残る場合】
外国人材が退職する場合、日本に残るのか、帰国するのかで、必要な手続きが変わるので、
雇用主側がアナウンスできるようにしておくとよいです。
外国人材が日本に残る場合の手続きは、外国人材の在留資格がいづれに当てはまるかで記入書類が変わってきます。
出入国在留管理庁ホームページをご確認ください。
在留資格が「高度専門職1号イ又はロ,高度専門職2号(イ又はロ),研究,技術・人文知識・国際業務,介護,興行,技能,特定技能」にあたる場合はこちらの書類を使用します。
在留資格が「教授,高度専門職1号ハ,高度専門職2号(ハ),経営・管理,法律・会計業務,医療,教育,企業内転勤,技能実習,留学,研修」にあたる場合はこちらの書類を使用します。
退職後に転職先が決まっていない場合は、会社側から交付された離職票を持参し、ハローワークで失業保険の手続きを行います。
退職を申し出た外国人材が行う手続き【帰国する場合】
外国人材が帰国する場合は、帰国のための身辺整理に関わる準備が必要です。
- 市町村役場での転出届
- マイナンバー返却
- 国民健康保険脱退手続き
- 銀行口座解約
- 退去手続き
このほか、「脱退一時金」という日本年金機構管轄の制度があります。
脱退一時金とは、「日本国籍を有しない方が、国民年金、厚生年金保険(共済組合等を含む)の被保険者(組合員等)資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金を請求することができる」というものです。
脱退一時金を請求する外国人向けの必要書類はこちらからダウンロードできます。
日本年金機構からは、年金Q&Aコーナーで外国人向けにわかりやすく解説しています。
上記の制度は、外国人材も知らない場合が多いです。
雇用主側が丁寧に教えてあげることで、外国人材側も気持ちよく帰国できるでしょう。
まとめ
今回は、外国人材の退職手続きをスムーズに進めるために会社側が取るべき手続き、外国人材本人が取るべき手続き、外国人材が帰国する場合のフローを解説してきました。
退職時の手続きは、慎重に配慮をもって行う必要があります。外国人材が日本語を介せない場合は、外国人材の母語がきちんと通じる者に間に入ってもらい通訳してもらいましょう。退職手続きの今後の書類トラブルを避けるためです。
今後、当の外国人材とどこでまた繋がるかわかりません。丁寧に退職手続きを進めることで職場を去る外国人材を通じて、優秀な人材を確保できる可能性は十分にあります。
別れと出会いは仕事上の常です。未来の良縁に期待しながら、一緒に働いてくれた仲間の今後を応援しましょう。
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