日本国内の人手不足から、優秀なベトナム人エンジニアを採用したいと考える日本企業は増えています。ベトナムの就労人口は約5750万人で、エンジニアなど専門職で高いスキルを持つ労働者も2019年には11.6%に達しました。その割合も年々高まっています。
日本企業がベトナム人エンジニアを採用する場合、ベトナム現地で直接採用するやり方と、日本国内の留学生新卒を採用するやり方があります。ここではベトナム現地でエンジニアを直接採用する費用と流れ、面接のコツをご説明します。ベトナムの労働市場の最新情報やベトナム人の平均賃金も掲載しました。
ベトナムの労働市場の最新情報
ベトナムの人口は2020年時点で9700万人を超え、15~64歳の労働年齢人口が68%を占める「人口の黄金期」と呼ばれる時期にあります。ベトナムの計画投資相(ベトナムにおける国家計画、投資政策策定、関連法令の制定をする省のトップ)によれば、この状態は2040年まで続くとのことです。
ベトナム人の平均賃金はいくら?
Total Workforce Index 2019(TWI 2019)によれば、ベトナム人労働者約5750万人の月額平均賃金は242USドルでした。このうち、製造業における月額平均賃金は238USドルでした。
同調査によれば、非単純労働者は11.6%を占め、2018年から1年で0.8%増加しています。また、ベトナムの常用雇用されている労働者の割合は41%、派遣雇用されている労働者の割合は57%とのことです。
製造業の平均賃金が全体を下回るのは、工場における労働に比べてIT産業やサービス産業などの新興産業における平均給与が、外資系企業による雇用(国内企業の2~3倍の給与水準)を背景に急上昇している現状があります。男女間の賃金格差によって、女性が多く雇用される繊維産業などにおける給与水準が比較的低いことも要因のひとつと考えられます。
なぜ今、ベトナム人エンジニアを採用するのか?
日本企業がベトナム人エンジニアを積極採用している背景には、以下のような要因が考えられます。
- 日本の若者の理系離れ、モノづくり離れ
- 日本人エンジニアの採用難
- ベトナム人の教育レベルの高さ
- ベトナム人エンジニアと日本企業の相性の良さ
日本では労働市場における「売り手市場」が続いていたため、優秀なエンジニアを採用することが難しく、日本企業は中国や韓国、そしてベトナムといった優秀なアジア人エンジニアに目を向けてきました。中でも教育レベルが高く、日本企業との相性が良いベトナム人が注目されているのです。
ベトナム人エンジニア採用の流れ
ベトナム人エンジニアの現地採用を行う流れは次のようになります。
- 募集(広告や紹介など)
- 応募書類スクリーニング
- 書類選考
- 面接(現地で対面面接、またはWEB面接)
- 就労ビザ申請
- 入社
自社の採用体制で現地募集を行うには、ビジネスレベルのベトナム語と現地の採用事情に精通した採用担当者が必要です。現実的にはそういったベトナム採用のプロは少ないため、現地に拠点をもつ日系の人材紹介会社を利用して採用活動をすることが一般的です。
(参考記事)海外にいる外国人を採用するときに気を付けたいこと
①募集(広告や紹介など)
ベトナム人エンジニア採用の募集では、どのような資格、スキルが必要か、学校で何を学んだ人材が欲しいかを人材紹介会社にきちんと伝えます。給与や福利厚生といった待遇もこの時点で伝えなくてはいけません。外国人採用の実績がない場合は、同年代の日本人社員のモデル給与、過去実績などでも大丈夫です。
現地の人材紹介会社を選ぶときには、自社が必要とする分野で評価が高い学校をしっかり把握し、コネクションを作っている紹介会社を選ぶのがポイントです。
②応募書類スクリーニング
ベトナム現地での募集に対して送られてくる履歴書は、ベトナム語か英語となります。これらをきちんと読みこなし、自社の募集要項とマッチした人材の履歴書をスクリーニングしなくてはなりません。
現地のスタッフが日本語、ベトナム語、英語をビジネスレベル(専門用語や履歴書用の表現など)で通訳できることが必要となります。紹介会社を使う場合には履歴書や職務経歴書の日本語訳がきちんとできるかチェックするのも重要です。
③書類選考
企業の採用担当者は翻訳された履歴書などをもとに書類選考を行います。人材紹介会社にはたいていハノイやホーチミン、ダナンなどの都市部に現地担当者がおり、じっさいに候補者と会って最初の面談をしています。このため人材紹介会社と打ち合わせをすれば、だいたいの人物イメージもつかめます。
④面接(現地で対面面接、またはWEB面接)
ベトナムでの採用において、もっとも重要なのは企業担当者による面接といえます。
ベトナムでは採用のためのテストはあまり行われません。また、面接1回で内定を出すのが通例です。もし日本式の採用にこだわり、「採用のためのテスト+複数回の面接」にこだわると、欲しい候補者が他社からどんどん内定をもらってしまい、辞退される可能性が高まります。
面接には渡航して現地で行う対面面接と、インターネットを利用したオンラインのWEB面接があります。それぞれのメリットを理解して使い分けるようにしてください。
現地での対面面接の感想
ベトナム人エンジニア(建築デザイン設計)採用面接会 参加企業様の声【チョクトリ】
「候補者の人生を決めることだし、会社にとって大きな投資だから、直接会わないで決めるのは難しい」というコメントが印象的です。
日本とベトナム間のWEB面接の感想
WEB面接会ってどうなの? ー採用成功の秘訣ー【チョクトリ】
WEB面接をした企業様のコメント集動画です。じっさいに体験すると、思っていたよりも対面面接に近いというご意見も聞かれました。
面接設定の注意点
対面面接、WEB面接のいずれにおいても面接直前の段取りはとても重要です。面接日時の連絡や事前に与えられた質問、課題なども伝え忘れないようにしましょう。
候補者を出来る限り同じ場所と時間に集めることも重要です。短時間でまとめて面接することで面接担当者の負担が減らせますし、検討がしやすくなります。候補者も等しく整った面接環境(WEB面接では通信状態も平等となります)で面接を受けることが可能です。
※ただし、2020年7月の現時点では新型インフルエンザの影響がありますので、政府などの指針に従って面接設定をしてください。
⑤就労ビザ申請
候補者に内定を出したら、すぐに就労ビザ申請のための手続きを始めます。候補者スクリーニングをする時点で、就労ビザが下りる可能性をある程度チェックできる人材紹介会社の利用がおすすめです(採用コストをかけて内定を出した候補者に、日本の就労ビザが下りないケースをよく耳にします)。
⑥入社
無事に就労ビザ手続きが終わり、入国審査が済んだら、いよいよ入社となります。入社前のさまざまな新生活のサポートも必要ですが、入社してからが本当のスタートです。仕事で使うビジネスレベルの日本語や専門用語の修得、日本での生活トラブルのサポート、就労ビザの管理など、入社後のサポートも充実した紹介会社をお選びください。
ベトナム人エンジニアを現地採用するための費用
ベトナムでエンジニア採用するためには、人材紹介会社を利用した場合の紹介手数料を除いても以下の手数料がかかります。
採用担当者の渡航費(航空券往復) | 約7万円 |
ホテル宿泊費(1泊あたり) | 5000円~1万円 |
面接会場費用(1日=8時間) | 1万~3万円 |
就労ビザ取得費用(行政書士に依頼) | 10万円/1人あたり |
候補者の来日渡航費(航空券片道) | 約3~6万円 |
日本語教育費用 | 1か月1万円~6万円(講師がベトナム人か、日本語ネイティブか、また通学かオンラインかによって料金が異なる) |
採用で忘れてはならない「定着コスト」
採用コストの中で、忘れてはならないコストに「定着コスト」があります。入社後スムーズに社内に定着し、長く働いてもらうためのコスト(日本語教育、日本社会への理解を促す教育や研修、メンタル面でのフォローなど)です。
こうした定着支援やビザの更新申請など、外国人材が日本社会と企業に定着するための総合コストは、採用コストとは別に約200万円ほどかかると考えられます。
株式会社OneTerraceでは、日本で働きたい優秀なベトナム人エンジニアを独自で集め、実践的なビジネス日本語教育と就業前のマインドセットを同時に行っています。入社後のサポート体制もご用意していますので、定着コストが低く抑えられます。
初めての外国人採用、外国人雇い入れ時に読む冊子シリーズ、人事向けビジネス英語フレーズなどのお役立ち資料をご自由にダウンロードいただけます。
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